このブログを書いている私は薬剤師です。そして、理系と文系どちらが得意かと言われたら、間違いなく文系です。いわゆる文系人間です。そんな人間が、薬学部を選び、薬剤師になりました。
「6年通う理系学部」といえば医歯薬学部。その中でも最近6年制に変更された薬学部は、在学期間が伸びたにもかかわらず未だに人気です。資格職は不安定な世の中では魅力的ですからね。
ただ、なにごとも向き不向きがあります。文系人間が薬剤師になるのは、果たしておすすめできるコースなのでしょうか?
理系じゃないと薬学部受験できない
まず大前提として、理系クラスにいないと薬学部を受験できません。よく理系についていけなくなった人が文転して文系学部へ向かうことはありますが、その逆は結構大変です。数学や化学生物物理などの遅れを取り戻すのは受験シーズンに集中したとしてもなかなか難しい。
文系か理系か選ぶ際には、薬学部に行きたい思いがあるのであれば、理系に進みましょう。だめなら文転すればいいし。破滅的に国語や英語ができない、ということがない限り、どこか引っかかる大学はあります…
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薬学部も、「選ばなければ」入学のハードルは低いです。新設私立大学の薬学部などがわかりやすい例でしょう。伝統的私立や国公立は偏差値が高く、入学試験の教科数も多くて対策しづらい。「ただ入るだけ」なら、楽な私立大学を選ぶのも手です。そのあとの苦労は覚悟しなければなりませんが。
文系人間に薬学部は辛かった
結論からいうと、大変でした。もともと文系科目が得意な人間が、生活の安定のためだけに無理くり理系を選んで、薬学部に首をつっこんでしまったのです。一言でいえば「向いていない」これに尽きます。
薬学部にいて思い出されるのは天性の理系人間とのギャップでしょうか。当たり前ですが薬学部には理系得意学生が集まるので、なんといいますか彼らの「わからない」と私の「わからない」は全く程度が違うんですよね。
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講義でわたしが躓いているところを、同級生はスイスイ理解していく。物理化学?薬物動態学?はっこの公式なに?電子がなんでこういう動きするの?はあ??
クラスメイトが当然のように飲み込んでいることを、私は喉に詰まって暴れているような、そんな毎日でした。だから友達に相談しても「講義聴いてる…?」って言われるくらいでしたし、重たい教科書読んで予習ノート作っても、それでも理解できなかった。おいてきぼりがやばかった。
あと、教授によって講義のわかりやすさは全く違います。レジュメくれて流れ通りに説明してくれる先生もいれば、自分の話したいことばかりで、教科書の内容から甚だしく逸脱している先生もいる。
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私が過去に受けたテストでは、「環境問題× × × を解決する架空の化学反応が発見されたとします。それを図と文章で説明しなさい」というフリー発想なものもありました。
こういうの、多分得意な人はすぐひらめくと思うんですよ。頭の中で電子が駆け回って化学反応式が勝手に導き出されていく。よく数学はセンスと言われますが、薬学(というか有機化学)も似たものがあるんじゃないでしょうか。
ちなみに私はセンスゼロなので、支離滅裂なことをいっぱい書いたあげく、講義へのお礼を書いてしめくくりました。点は貰えたので、何も書かないより良かったでしょう。
そんなことばかりの学生生活だったので、コンプレックスがすごかったです。普通に優秀な学生は普通に正当な答えを書いて評価されていくんだな、それに引き換え私は先生のお慈悲をいただくことに必死になって、なんなんだこの学生生活は…と顔が青ざめていく思いでした。
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こんなことが四六時中あるので、入学してすぐに「あ、向いてない」「とんでもないところに入ってしまった」と後悔しました。マジで。卒業したのは意地と根性だけです。理系得意な学生でさえ薬学部卒業は大変なのだから、文系人間がそこに入るのは、絵心ないのに美術部入るとか、足遅いのにサッカー部入るとか、そういうしんどさです。つまりは「合ってない」んです。
すべての人がそうだと言うつもりはありません。真のインテリなら文系も理系もあったもんじゃないし、たった2分割で人間の能力を測るやり方も適正じゃないかもしれません。
ただ言いたい。数学や理科にちょっとでも苦手意識があるなら、薬学部に入ると地獄を見ます。
なんといいますか、自己肯定感が日々ゴリゴリに削られます。大学に近づく度に胃が痛くなります。なんでこんな学部に入ったんだろう…一日に何回もそんなことを思います。
【受験勉強におすすめ】
薬学部に入学後が厳しいのは当然として、その前提の大学受験ももちろん大変です。その場しのぎの暗記ではやり過ごせないですし、日々こつこつと積み重ねないとライバルに打ち勝つことはできません。
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実験が苦手…
高校までの授業で理科の実験を経験するかと思いますが、これが苦手な人と言うのも薬学部はきついです。というか理系の学部はしんどいかも。実習・研究室では実験はつきものになるので、手を動かすのが苦手な人は結構大変です。
現にわたしもめっちゃくちゃ不器用なので、本当に指導する先生が泣くレベルに実験に失敗し続けました。失敗は成功の母といいますが、あんなの嘘です。なにも未来に結びつかない失敗を繰り返し、学部の金を使いつぶすなと怒られ、嘆く毎日です。動物実験とか本当につらかった…
実験は「やれば慣れる」かもしれませんが、病的に不器用な人には向いていません。心当たりがある人はちょっと考えてみてください。しょっちゅうガラス機器を割っていたり、やけどしたり、切り傷つくったり、物と自分の距離感がわからない人はやばいです。たぶん実験でえらいことになります。苦手なことをやるってしんどいですよ。
自尊心が破壊される日々
理系が苦手な文系人間でも薬学部を卒業することじたいはできる。しかしその引き換えに、自尊心がいたずらに傷ついてしまうおそれはあります。
まわりは自分より得意な人ばかり。自分の「わからない」は周囲に理解されない、なんでこんな簡単なことがわからないの?って言われる。説明してもらっても理解できない。「自分はここに来るべきじゃなかった」「やっぱり向いてないんだ」「勉強についていけない自分はダメなやつだ」とどんどん追い詰められてしまいます。
精神的に孤独になるおそれはあります。私は研究室にいるときにそれを特に感じましたね。実験でちっとも成果がでなかったり、自分以外はディスカッションの内容を理解して話していたり…ああ、向いてないなって思いました。本当に。
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薬剤師になれた理由
私は低スペックですし平凡な人間です。飛び抜けた才能もありませんし、その中でもまだマシだった文系能力を放棄して薬学部に飛び込んだアホです。魚が陸を走ることを決めてもうまくいかないように、自分の能力が活きる場所を選べば良かったものを、何故か薬学部に進んでしまいました。
それでもどうにか薬学部を卒業しました。薬剤師国家試験にも合格し、免許を取りました。
何故それができたか。バカみたいな話ですが「根性」です。免許が欲しい、ただそれだけだったんです。
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ただ大学を卒業したいだけなら、ラクな大学なんて山ほどある。大卒のハク付するだけのつまらない学校なんて捨てるほどある。そっちを選んだほうが明らかにラクでしたし、キャンパスライフも楽しかったでしょう。バイトにサークル、ボランティアに留学、旅行にインターンシップ。いろいろやれます。
一番若さと自由のある時期に、それをドブに捨ててまで、薬学部に通いつめた理由。それは「薬剤師免許」です。これは綺麗事抜きです。免許が取れない学部なら、絶対転部か転学しています。
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私は不器用なのでリア充しながら勉強はできませんでした。というかキャンパス全体が負のオーラ漂ってました。テスト期間はホームレスみたいな人が増えていくし。地獄みたいでした。もう二度とやりたくありません。
それでも「一生使える資格」として薬剤師免許をとったことは、無駄じゃないと思っています。突然どこかへ引っ越すことになろうと、免許があればそのへんの薬局で食いつなぐことができる。時給も地域によるけど高い。免許を使える仕事も多い。
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少なくとも、ユーキャンとかで適当に取れる資格なんかより遥かに大きな価値があります。ここは誤解してはいけません。(よく登録販売者と薬剤師を混同してる人がいますが、両者の難易度の差は述べるまでもありません)
いまラクするか、後になって安心するか。どちらを選ぶか、となって、私は生活の安定を取りました。薬学部生活はめちゃくちゃきつかったし、二度とやりたくないし、他人に簡単におすすめできるものではありません。
それでも、薬剤師免許を取れたこと自体は、生活への安心と、大きな自信に繋がりました。そこに後悔はありません。
まとめ
- 薬学部に入るには原則、理系を選ぶこと(理系じゃなくても入れる薬科大学はあるが、入学ハードルが低い大学は、だいたい後で詰む)
- 文系でも薬学部生活は送れる。ただし、本人がハイスペであるか、死ぬほど勉強するかが必要。高校の理科でつまずく程度ではついていけない
- 文系でも薬剤師にはなれる。ただし膨大な勉強が必要。これを怠るようではそもそも薬学部に入らない方がいい。学費高いし進級できずに後で詰む
- 薬剤師免許は一生ものの安心感。ただし今後はわからないし、そもそも高い学費と最低6年の時間をかけるほどの価値がある免許なのかというと、個人的には疑問。4年で免許取れる時代なら間違いなく美味しかったんだけどね…
大学をどう考えるかによります。学びたいものを学ぶとするのか、卒業後に役立つものを得るために学ぶのか。この2つが一致していれば、薬学部生活は楽しいでしょう。私はほぼ後者だけだったので、ほんと根性だけで卒業したくちです。自分のようなケースはおすすめできません。やっぱり、向いてることをやるほうがストレス少なく済みますし。
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ストレスフル確実でも薬剤師免許が欲しい。そういう覚悟がある人なら、文系でも薬学部でやっていけるでしょう。
どんな人にも向き不向きがあります。自分の進路はよく考えてください。入るだけなら薬学部はラクですが、出るのはほんとに大変です。
【受験勉強におすすめ】
薬学部に入学後が厳しいのは当然として、その前提の大学受験ももちろん大変です。その場しのぎの暗記ではやり過ごせないですし、日々こつこつと積み重ねないとライバルに打ち勝つことはできません。
高校3年間はびっくりするほど早いので、ちんたらしてるとあっという間に周りに差をつけられます。適切な勉強を繰り返していくのが、確実に薬学部に進むために重要です。
準備が早すぎて損をすることはありません。まずはスタディサプリで日ごろの学習を補完していくことから始めてみてはいかがでしょうか。
高校のころから適切な学習習慣を身に着けていけば、薬学部に進学後もスムーズな学生生活を送れます。
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