薬剤師のメソッド

進学、就職、国家試験、転職など薬剤師の人生についていろいろ

【進学】手先が不器用でも薬学部を卒業できる?薬剤師になれる?【就職】

人間だれしも得意なことと苦手なことがあります。すべてが得意な人なんてのはそうそういません。複雑な現代社会を生き残っていくためには、不得意なことを無理やり克服するよりも、得意な部分を伸ばしていく方が有利なのではないかと言われています。

人は誰しも弱点がある。ならば「手先が不器用」がウイークポイントだった場合どうすればいいのか。薬学部を卒業できるのか、薬剤師として働けるのか?疑問になりますよね。

薬学部に「入る」ことは問題ない

まず、薬学部に入学すること自体には問題ありません。なぜなら入学に手先の器用さは求められないからです。ペーパーテストと面接で判断されるので、いかに不器用だろうと、運動神経が壊滅的だろうと、問題ありません。要はペンを握って文字を書く事さえできれば、薬学部に入ることはできるのです。

「薬学部に入りたい」これだけが望みであるのならば手先の器用さは関係ありません。しかしこのブログでもさんざん言っているように「入学」がゴールであるわけがありません。最低6年間の薬学部生活が待っているのですから。そこで苦しむことは何回もあります。

 

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不器用すぎて実験ができない

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メンバーを怒らせる実習

手先が不器用であることで何が問題かというと「実験ができない」これが一番大きいです…理系の学部でこれは致命的な弱点なんですよね。デスクワークであれば求められないのですが、実験というのは嫌でも手を動かさなければならないので、空間認知が壊滅的な人はかなり苦しみます。

学校にもよりますが2年生くらいから実習が始まります。何か月もさまざまな分野の実験を行うわけですが…不器用だと詰みます。チームで実験する場合、否応なくメモ係とかレポートのたたき台を作る係になります。みんなさっさと帰りたいので、苦手なやつにやらせる時間なんて無いのです。

有機化学にしても薬理学にしても、繊細な操作は求められます。動物実験なんて…血管をいじる手術なんて非常に難しい。本当のところ、器用と不器用は先天的なものであり、練習すれば必ずうまくいくとは限らないと思っています。つまり器用な人はA~Zまでの操作が最初からすんなりできるものですが、不器用な人はAをどんだけ練習してもAしか上手にならず、B~Zはスキルゼロのままなのです。

 

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 それで何がつらいって実習でずっと「戦力外通告」され続けていると、自信をどんどん失っていくのです。「自分はここにいていいんだろうか…」と不安になります。ほかの学生も「あいつにやらせたらろくなことにならないから」と実験をやらせてくれません。チームにもともと器用な人がいるんだったらその人に任せる方が早いですからね…

私はめちゃくちゃ不器用なので、自分で実験なんてろくにやれないというか、やらせてもらえませんでした。一人でやる実験に至っては最後の一人になるまで残って、先生もさじを投げるくらいでした。破滅的に不器用なんですよね。そんな人間がそもそも薬学部を選んだことが、間違いなのかもしれませんが…

 

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研究室で居場所を失う

学生生活の後半になると研究室に所属され、さまざまな実験をやることになりますが…ここでも地獄を繰り返すことになります。プロトコル通りにやってるのにうまくいかない。エラーしかない。同じことを何回も何回も繰り返しても結果が出ず、教授に詰められても「すみません」しか言えず、内心「どうせこんな研究世の中の何にも役立たないくせになんで深夜までやらされるんだ資源の無駄だろ」って思いながら実験する。そういう不毛な日々が続きます。

どうしても得意なことと苦手なことはあります。楽器を弾くのが得意でも走るのが苦手な人はいる。人と仲良くなるのが得意でも食べ物の好き嫌いが多い人もいる。すべて得意な人はいません。それでも「手先が不器用」なのは薬学部においてなんらアドバンテージにならないのは、認めざるをえない事実です。

これが実験を必要としない学部だったら問題ないのです。実験してデータを出して卒業論文にして卒業する、それが求められない世界ならば、「手先が不器用」なんて些細な問題です。しかしここは薬学部。情報系の研究室などでなければ、基本的に実験しないとデータは取れません。これが厳しい…

 

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 基本的に研究室の上層部は実験が苦手な人ってのは少ないので、手先が不器用な人の気が知れませんし、「なんでそんなにやってもできないの?」「なめてんの?」「ほかの人にできることがどうしてできないの?」と悪意なく攻撃されます。これがしんどい。彼らの常識はこちらにとっては異常。でも彼らにとってみれば実験ができない学生は異常な存在なのです。

これを切り抜けるのが重要な課題です…ひたすら練習して克服するのも手段ですし、難しい手技が必要な実験はやらない(もしくは上手な人に代行してもらう)、実験をやらない研究室を選ぶのがポイントでしょうか。

わたしは実験も研究も大嫌いなのでまったくこだわりはありませんでしたが、しんどいのは「研究は好きなのに実験ができない」タイプの人でしょう。たぶんこういう人は非常に生きづらい。理想の自分とかけ離れすぎていて何度もつらい思いをする。

 

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 少なくとも「実験が苦手」というのは非常に大きな欠点になります。残念ながら…それは覚悟したほうがいいです。それがしんどいのであれば、実験をせずにすむ研究室を探して、なんとしても滑り込みましょう。あるいは実験の期限を厳しく迫られないホワイト研究室。

 

OSCE、実務実習がしんどい

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厳しく詰め寄られるのは鬱陶しい

 

実技が絡んでくるときついです。器用な人でさえメンタルの問題でOSCEをしくじってしまうのに、手先が終わってる人なんてやばすぎます。これに関しては練習しまくるしかない…だって合格しないと進級できないんですから。人の10倍練習しないと人並みになれない。そう考えた方が気が楽です。不安な項目があるんだったら徹底的に練習するのみです。

 

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 きついのはその後の実務実習ですね…調剤で手先を使うことはあるでしょう、散剤や水剤をつくったり軟膏を練ったり…

異様に練習させられた思い出があります。後から確認したら「その調剤方法は今時どこの薬局もやっていない」って言われて「はあ?!」ってなった思いがあります。なんのために練習したのか…老朽化した技術をひたすら練習して人をいびってネチネチと攻撃して、果たして何の生産性があったのか。いい加減実務実習のカリキュラムは統一してほしい。実習先ガチャが酷すぎる。

 

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 これは実習先にもよります。懇切丁寧に調剤技術を教えてくれる親切な施設もあれば、もうとにかくハラスメントを行うだけのところもあります。後者だともうひどいです。調剤ができない=人間じゃない勢いで人格攻撃されます。本当にみっともない(指導薬剤師が)

個人的に薬学部6年制には何の意味もなく、11週間×2の実習なんて本当に時間の無駄と思っています。さっさと4年で出て現場で調剤したほうが格段に上手になる。というか実習なんてやってもおままごとに過ぎないんだから、学生も引き取り先も迷惑。本当なくなってほしい制度です。

なので、実習で調剤ができないって責められたり指導薬剤師がバカなこと言ってきたとしても、気にしなくていいです。なぜなら実務実習じたいがムダな存在だからです。調剤ができたって国家試験に合格できないのであればただのちょっと器用な人でしかない。優先順位を間違えてはいけません。実習なんて本当に無駄な時間です。なのでそこで多少怒られようと、本気にするだけ損です。

 

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調剤しない薬剤師というのもある

問題は就職後です。この後の進路をどうするかは課題です。というのも、向いてないことを何年も続けていくのはストレスなんです。ただでさえしんどくて疲れる仕事なのに、苦手で向いてないことをやるのは余計疲れる。そんなの当たり前ですよね。

それでも薬剤師として経験を積みたいから病院や調剤薬局に就職する。そういう道もあるっちゃあります。まだ若いですから無理もききます。つらいことに耐えてメンタルが壊れてしまっては意味がありませんが…

 

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 進路についてどうとらえるかは人によります。特に病院薬剤師は薄給ですから。「向いていないことを薄給で続ける」ことのストレスはものすごく大きいです。しんどすぎる。がんばるとかがんばらないとかそういう問題じゃない。もともと器用な人にはかなわない。根性論は時代遅れというか、時間の無駄です。臨床経験を積みたいのならまあ別ですけど、果たしてそこまでしんどいことを長く続けられるのか謎です。

手先が致命的に不器用な場合、どんだけ臨床経験を積もうとへっぽこなままです。トラブルを生むはめになり、本人も自信を失う原因になります。だったらどうするか…調剤しない薬剤師になるという手もあります。わかりやすい例で言えば、製薬会社のMR。まったく実験しません。コミュ力と体力の勝負です。

 

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 得意なカードを使って生きる、というのは基本戦術です。薬剤師だからって調剤しなければならないかというと、それは違うでしょう。薬剤師免許を持っていても違う分野で成功している人はいくらでもいます。

薬剤師免許がある=薬剤師として臨床の仕事をするという決まりはありません。薬学部を6年制に変えた理由のひとつに「臨床でのレベルが高い薬剤師を輩出する」みたいなのがあるそうですが…まあ好きなように言っていればいいんじゃないですか。臨床のレベルを高い薬剤師はいくらでも働けばいいのです。そうじゃない薬剤師は別の生き方をすればいいのです。

 

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 金と時間をかけて薬剤師になったわけですが、かといって薬剤師にならなきゃいけないわけがありません。セーラームーンの作者やケツメイシが薬剤師であるように、別の分野で仕事をしてもいいのです。致命的に手先が終わっていようと、調剤以外の世界を探せばいい。薬剤師というカードを使ってもいいし、もともと得意なことを活かしてもいい。

周りがどうしようとどう言おうとほっとけばいいです。その人たちが自分の進路に責任とってくれるわけじゃないんですから。自由に勝手に選べばいいんです。薬剤師をやらなきゃいけない、と指導薬剤師に吹き込まれることもあるでしょう、でもそれは当たり前です。彼らは「指導薬剤師」であり、病院や薬局の中の世界の人間ですから。外にいない人の話を聞いても意味がありません。

結論としては「手先が不器用だとめっちゃしんどいけど努力すれば薬学部は卒業できる。薬剤師にもなれる。調剤がリスキーな場合は、臨床以外の世界で就職・転職することも現実的である」です。

いくら理想を唱えようと、実際は理想には届かないものです。自分が持ってるカードで勝負したほうが早いし、戦果は得やすい。もともと器用な人には不器用な人間はかないません。だったらどうすれば生きやすいか?必ずしも、苦手な世界で努力することが正解なのか?

どうやって生きるべきなのかは人生を通したテーマです。よく考えてください。