薬学部は平成18年度(2006年)から6年制になりました。
それ以前は薬剤師になるためには4年間薬学部に通うだけで十分でした。
4年間の薬学部のカリキュラムを修了すれば薬剤師国家試験の受験資格が得られました。
現状、薬剤師国家試験の受験資格を得たければ、6年制の薬学部に通うしかありません。
4年制のカリキュラムでも「不可能ではない」のですが……そのへんの手順は大学によって違いますし、非常に煩雑ですのでおすすめしません。
薬剤師になりたいのであれば6年制の薬学部に通うことが最短のルートです。
6年制になって追加されたカリキュラム
じゃあ6年制になったことで何が変わったんだ?ということですが。
一番は「実務体験をするカリキュラムが追加された」ことでしょう。
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旧4年制のころでは実務実習も病院だけ、調剤薬局は任意…といった大学が多かったようです。
また、実習期間も2週間~1か月といった短期的なカリキュラムであったようです。
このへんが6年制薬学部ではガラッと変更されています。
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6年制薬学部では4年生の終盤で「CBT」「OSCE」という実務試験(実務実習に行くための試験)に合格する必要がありますし、5年生は1年の半分以上を使って病院や調剤薬局へ実務実習に行きます。
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ここでの経験を通じて薬学生は「薬剤師の現場」を学ぶことができます。
6年制薬学部になって変更された点は「ここだけ」と言っていいでしょう。
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研究室に通わなければならなくなった、という変更点もあるにはありますが、これは4年生+修士課程を経ている薬剤師とほぼ同じようなものでしょう
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(むしろ、6年制のほうがCBT、OSCE、実務実習の影響で研究期間は減っているので、研究実績は4年生+修士の薬剤師より劣る傾向にあるでしょう)。
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医者と薬剤師は対等、そんなの幻想
まあ形だけ6年にしてみたところで内容がそれについてこないので、医者並みの知識とスキルを持った薬剤師なんて出てくるわけないですよね。4年でできることを6年に引き伸ばしただけなので。実習を入れたのが大きい変化だったでしょうけど、まああれくらいの経験で「現場を知った」とはとても言いづらいですし。ハラスメント事例もたくさん目にしましたし。
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もし薬学部が4年で卒業して薬剤師の免許を取れたならどんだけよかったかと思います。別に6年制出身だったからと言って何も変化もないですし、というか卒業後の勉強は本人の意欲しだいなので…くさってしまう人なら6年制でもダメですし、できる薬剤師は別に4年6年にこだわらないでしょう。
10年前は「薬剤師が飽和する!薬学部を出ても食ってはいけない!!」とさかんに叫ばれていましたけどそれも外れましたしね。みんな適当言いますよね。薬剤師の活躍の場は広がってはいます。仕事の種類も多いのでそこは良いことなのですが、じゃあ「医師と対等か」っていうと、それは違うと思うんですよね。
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同じ6年とはいえ…自分が卒業した者として思うのは医師の足元に及ばないくらい、無知であること。医師は命を削って勉強していること。いわゆる超ブラック環境でも医師としての成長だけを目指して鍛錬していること。そういう人たちを見ていると「あ、無理だ」と結論づけました。ほかの意識高い薬剤師なら違うのかもしれませんが、私はとにかく楽をしたい薬剤師なので「無理。医師と対等とかありえない。無理」と判断しました。働きすぎて自分が死んでしまっては元も子もありませんし。
ぶっちゃけ、6年制になった意味って…
卒業して働いている身からいうと、6年制になった意味ってよくわかりません。
正直のところ、6年制になったところで、「だからどうした?」って感じなんですよね。
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現場でも別に6年制だからといって扱いが変わるわけではありませんし、それ以上に、薬剤師じたいが「6年制卒だから旧来の薬剤師より特別優秀」というわけでもありません。
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はっきり言って実務実習で経験した調剤や服薬指導のスキルって、「現場に出てから身につければいいもの」なので、別に4年制を卒業して働きながら研磨していったほうがいいんじゃないの?って思います。
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極端なことをいえば「旧4年制を卒業して2年間現場で働いた薬剤師」と「6年制を卒業したばかりの薬剤師」では、どちらが薬剤師として現場で使えるかといえば、そりゃあ前者でしょう。
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現場経験に勝るものはありませんからね。
じゃあなんで6年制にしたの?というと…
「薬剤師の教育の場である薬学部を6年制にすることで先進国の中で遅れている薬剤師の教育を充実させ医療の質の向上をはかる。
http://www.pharm.or.jp/kyoiku/pdf/monka_1602.pdf
要は、ほかの国もやってるんだし日本も薬剤師を6年制教育にしようぜ!
そしたら薬剤師の社会的地位ももっと向上するかも!ってことです。
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うーん……カリキュラムを2年伸ばした程度では、現状、特別優れた新時代の薬剤師を輩出しているとは思えないのが今の6年制教育への本音です。
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そもそも「米国と比べて日本は薬剤師の地位が低い!」って言われても、保険制度も何から何まで違う米国の薬剤師に日本の薬剤師が追いつこうとすることじたいが、戦う土俵を間違えているというか…。
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そりゃ薬剤師が米国みたいに処方権を持つようになるなら社会的地位も上昇するでしょうけど、今の病院大好きお医者さんにかかるのが大好き国民皆保険制度大好きニッポンでは、難しいことだと思いますよ。
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少なくとも2~3年で変えられるような問題じゃないです。
そして、自分が意識の低い薬剤師だからというだけであってほしいのですが、医師と同レベルに勉強なんて正直してないんです。異次元ですから。なりふり構わず医療に没頭するあの姿勢、とても真似できません。それができる薬剤師もいるんでしょうけど、少なくともわたしは違う。
そしてそういう薬剤師って、多いでしょう?
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結局6年制教育に変わったところで、輩出される薬剤師のレベルが上がったとか、薬剤師の社会的地位の向上に貢献したとかいう話は、まだ聞きません。
6年制薬剤師デビューもまだ日が浅いですし、時代が変わるのはまだまだこれからでしょう。
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今後、なんらかの形で6年制薬剤師が旧来の薬剤師に優位性を取る時が来るのでしょうか?
今の私にはまだ具体的なイメージができません。そのあたりは意識の高い薬剤師たちががんばってくれるのだと思います。最前線に立って最先端の医療を学んでいる薬剤師の方々には頭が下がります。わたしにはとてもできません。きっとこのような方が先頭に立って薬剤師の立場を変えていくんでしょうね。
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どうやら今の薬学部というのは「旧来とは違う薬剤師を輩出する学部」というのをコンセプトにしているみたいです。それに従うかどうかは個人の問題ですが、薬剤師は変わろうとしているみたいですね。混乱している今の時代に薬学部に行こうと考えている方は、このブログの記事を読んでよくよく検討してみてください。
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現状、6年制薬学部になったからといって決して何かが変わったとは実感しませんし、医者とイーブンになったとは口が裂けても言えません。かといって、薬学部が簡単かというと、そういうわけでもありません。
薬学部、そして薬剤師は決して楽な道ではありませんよ。