薬剤師のメソッド

進学、就職、国家試験、転職など薬剤師の人生についていろいろ

【大学】学費が高いし大変…薬学部を退学したい新入生へ。薬剤師の免許を取らなくてもいいの?【進学】

五月病というものが昔からあります。

GW終わった頃から「なんかやる気が出ない…」「しんどい…」「やることに手がつかない…」となる症状です。

これは学生に限らず社会人にも発症します。わたしなんて年中五月病です。働きたくないことにかけては本当にそんじょそこらの人には負けません。いかに働かずに収入を得るかばかり考えている意地汚い大人です。

そんなわたしですが、先日大学の後輩から相談を受けました。

当時彼女は薬学部の1年生だったのですが「大学をやめたい」と言っていました。

5月病ではありませんが、薬学部の勉強に取り組む意欲を失ってしまったようです。

薬学部にいる意味が分からない

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彼女は某大学の薬学部に入学しました。

「手に職をつけろ」という親の方針でなんとなく薬学部を選択し、無事入学。薬学部が勉強が厳しい学部であることは知っていたようですが、中高と優秀な成績であったことも手伝って「どうにかなるだろ」と思っていたそうです。

 

しかしいざ入学すると講義と試験とレポートの山。同じ大学の文学部とかは遊び放題だしそもそも登校してないし、部活にサークルにバイトに飲み会に遊び放題、自由の限りを尽くしているというのに、薬学部はみんな白目をむきながら勉強の日々。

レポートが終わったと思ったらまた別の科目のレポート。有機化学の小テストが終わったと思ったら今度は生物学のテスト。一般教養の講義が終わったと思ったらすぐ専門科目の開始。

こんな日々の連続で、彼女は疲れてしまいました。勉強へのモチベーションもどんどん落ちていき、成績も下降しました。

 

薬学部にはよくある話です。なんとなく入ったが最後、勉強地獄。こんなはずじゃなかった。何度もそう痛感します。

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 それまで「優秀な学生」としてとおってきた彼女は、薬学部に入って急激に成績が降下したことで「自己肯定感」を一気に失ってしまったそうです。成績が良くて当たり前だったのが自分なのに、薬学部に入った途端そのへんの生徒よりも劣った成績になってしまった。

自分のアイデンティティだった「勉強ができる」も失われてしまったし、そもそも目の前にある「勉強する」という毎日の課題に向かい合うモチベーションも失われてしまった。

 

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 なんとか留年はまぬがれたものの、この先薬学部で居続ける自信がないそうです。「勉強にもやる気が出ないし、難しくてついていけないし、これがずっと続くかと思うと怖くて薬学部に行けない」といって、大学に足を運ぶ回数も減っているそうです。

 

薬学部の中退はあるあるの悲劇

彼女のような人は多くいます。薬学部は失踪者が非常に多い学部です。春はとにかく失踪の季節です。「あの人どこに行ったの…?」なんて話題が飛び交います。ひどいときは誰からも話題にされずに消えていく人だっています。リメンバー・ミーです。

 

勉強などのつらさのあまり、薬学部から人が消えていくのはあるあるの現象です。

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 私も同じような気持ちになっていました。というか6年間ずっとそうでした。「薬学部やめたい」毎日のように唱えていました。暇があれば薬学部の教授を呪っていました。テスト落してきた教授に呪詛の言葉をつぶやいていました。

 

ほんとに進級できるかどうかって死活問題なんで…そのへん配慮してくださいよ教授…

そりゃもともと頭がいい学生なら多少の困難も大丈夫でしょうけど、みんな聡明なわけないじゃないでしょ。私のようなポンコツの方が多いと思います。なのに目の前には地獄のように課題が転がり落ちてくるわけです。

 

そりゃ心も折れて中退もしますよね。

 

 

薬剤師に本気でなりたいですか?

何事も続けることが一番大事です。そして続けることは、簡単そうに見えてとても大変です。なぜなら「モチベーションの維持」が難しいからです。

あなたは薬学部に通う上で「モチベーションを維持」できるものがありますか?あなたは何のために薬学部に通っていますか?6年も続く勉強が厳しい薬学部という名の地獄を、どうして毎日通い続けているんですか?

この質問について、スッと回答することができますか?「なんとなく」「親が言うから」「大卒がいいから」とかいうフワッとした答えになってませんか?

 

モチベーションが続かないと、6年もやってられません。他のラクな学部だったらともかく、薬学部はどこを選んでもしんどいです。卒業するだけでも大変ですし、そのうえ国家試験にも合格しなければなりません。

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薬学部は厳しい。 動機付けが適当だと、続ける意欲が鈍ってしまいます。まして、勉強がしんどい薬学部のような学部なら「ゴール」を明確にしないとやっていけません。

何の目的もなくだらだらとあんな勉強を続けられるわけがありません。よっぽどの物好きか変態かマゾヒストじゃないと無理でしょう。

 

個人的に、工学部や農学部のような「資格が取れない」学部で勉強に打ち込んでいる学生を見ると「変態か!」って突っ込みたくなります。いやもう、何をモチベーションにこんなに勉強してるんだろう?って心から不思議になります。

 

資格のために勉強してるようなもんなのに。

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 わたしは優秀な学生ではありませんでした。下から数えたほうが早かったですし、コミュ障でしたし不器用でしたし、なんで卒業できたのかわからないような学生でした。

それでも6年間なんとか通い続けられたのは「資格を取りたい」という強いモチベーションがあったからです。どうにかして国家資格を取りたい、手に職をつけたい、身を落ち着けたい……そういう強い思いがあったから、講義が難しかろうとテストでぼろくその点をとろうと、勉強をやめることはありませんでした。

人の倍かかるなら、倍時間かけよう、ということで、あらゆることを捨てて一日中勉強していました。青春なんてゴミ箱に捨てていましたね。

 

諦めるしかありません。何かを得たいなら、何かを切り捨てるしかない。遊ぶ時間も勉強する時間も同じ時間です。遊んでばかりでも卒業できる人はできるかもしれませんが、そんな人はごく稀です。

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 私の場合は「資格を取りたい」が強い強いモチベーションになって卒業まで心身を突き動かしました。不器用で頭の悪い学生でも薬剤師になることができます。

根性、意地。つまりそういうことです。「やる気」ってすごく大事なんです。アホみたいな根性論になるかもしれませんが、人間、「やる気」が湧かないことなんて続かないんですよ。無理したって限界が見えます。

 

やりたくないことを長期間できるほど器用にできていません。「なんとしてでもやるぞ」と決めたことについては、多少は無理がきくんです。それがモチベーションを維持させてくれるから。

 

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 さて、問題はあなたの場合です。あなたは「本気で」薬剤師になりたいですか?

薬剤師という国家資格を「本気で」取りたいですか?薬学部はここが一番大事です。

何をおいても「薬剤師になりたい」かが一番大事です。ここがぶれてはいませんか?

 

内心、薬剤師になんてなれなくたっていいや…って思っていませんか?そしたら黄信号です。モチベーションが落ちている証拠です。

薬剤師になりたくない、ならなくてもいいと思える程度なら、行き詰まる可能性があります。勉強に苦戦しているなら尚更。

半端なやる気での薬学部生活は本当につらい

アホでも金さえ積めば薬学部に入ることじたいはできます。どんなアホでもできます。お金さえあれば入学できます。問題は、そのあとです……結局ゴールは同じ薬剤師国家試験なのだから、その過程が地獄を極めることは簡単に想像つきますよね。いくら金を積んだアホが入学できたとしても、その後に押し寄せる課題課題課題に力尽きて倒れる、そうして死屍累々になる。そのケースを何回も見てきました。

薬学部は地獄です。学費を吸い取りたい私立なんてまさに鬼畜です。入り口は笑顔で、中身は地獄で、出口はめっちゃくちゃ狭いわけですからね。行きはよいよいです。安易に入学して「薬学部に入れたしもう大丈夫っしょ」と勘違いしたら本当に詰みます。自分の学力に自信がないのなら、安易に薬学部なんて選ぶもんじゃない。遅かれ早かれ詰むんです。

 そもそも手に職つけたいなら薬剤師じゃなくてもいいわけです。看護学校や看護学部を選べば、少なくとも薬学部よりは(在学期間・経済面)楽です。卒業後は知りませんが。

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それでも卒業したいと思うなら…やはりモチベーションは薬剤師免許でしょう。薬剤師になりたくない状態で勉強してもしんどすぎるので。絶対資格を取りたい、他に何もいらない、何も考えられない、くらいの奴隷根性にならないとしんどいです。能力が飛びぬけていない人間は、それくらい追い詰められないとどうしようもないです。背水の陣じゃないですけど、これしくじったら死ぬぞ、レベルの気迫でいかないとやってられません。そこまでやる気が出せないなら、在学してるのもしんどいですよね…

精神論になりますが「絶対卒業したい」「絶対免許を取りたい」を常に目標にしていれば、課題を乗り越えるモチベーションにはなるのではないでしょうか。免許がそれほどおいしいと思えないのであれば、モチベへの効果は弱いです。それでもハイスペックなら卒業できるのですが、そうでもないなら…単位を取るのもきっついですよね…

薬学部やめる前に、やるだけやってみましたか?

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もしもあなたが「薬学部やめて、次はこういうことをしたい!こういう仕事をしたい!こういう活動をしたい!こういう学部に行きたい!この大学で勉強したい!」などのビジョンが明確ならば、行動は早めにするのが吉でしょう。そのまま薬学部にいても叶うことのない夢ならば、早急に「夢がかなうルート」に方向変換すべきです。

 

道筋が見えているのであれば歩くべきです。薬学部でぬるぬると勉強しているような暇はありません。人生は短いのです。

 問題は「やりたいこともない」のに「薬学部を辞めたい」人です。これは重症です。次に行くべき目的地もないのに海の上で船をたたもうとしている状態ですからね…へたしたらどざえもんになりますよ。

 

次の目的がはっきりしていない状態で、薬学部をやめるのは正直感心しません。これが薬剤師で、今の職場がブラックで、心身ぶっ壊れそう…もう無理…ってなるんだったら絶対辞めて撤退すべきだと思いますが…薬学生の場合話は変わります。

 

勉強についていけないから嫌、それだけでは生産的な行動に移るのは難しいでしょう。

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 薬学部をやめたいと思っている人に聞きたいのは「やれることはやったか」ということです。自分の限界まで勉強したか。打てる手はすべて打ったか。どこかに自分の甘えはないか。

 

「ほかの学部の大学生みたいに遊びたい」という誘惑への屈しはないか。そのへんを省みてほしいのです。

 

薬学部で他の一般大学生のように遊ぶのは不可能です。大学は暇で楽で遊べる場所、人生のモラトリアム、そんな言葉は通じません。

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 このブログでもさんざんさんざん言っているように薬学部は過酷です。過酷なのにこんな学部が毎年人気なのが不思議なくらいです。

 

たぶん何も知らずに入学して、過酷な現実を目の当たりにして、ばたばた討死にしていくんでしょうが…半端な覚悟では進級できませんし、卒業もできませんし、国家資格も取れません。腐っても医師に次ぐ資格ですからね。そんな簡単にクリアできるわけがないんですよ。

 

甘いこと考えない方がいい。入学は簡単でも、その先は修羅の道です。

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 だから「大学の講義についていけない」「テストが難しすぎる」と言っている人に関しては、いまいちど自分の生活を見直してほしいです。

 

ゲームばかりしていませんか?漫画ばかり読んでいませんか?飲み会ばっかりしてませんか?ネット漬けになっていませんか?部活ばかりしていませんか?バイトばかりしていませんか?遊んでばかりで進級できると思っていませんか?

 

ほかの学部の大学生のようにふわふわなんとなく生きているだけで卒業できると思っていませんか?

 

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楽に卒業できるわけがない。

 そんなもの幻想です。はっきり言って、勉強しないと薬学部は進級できません。無理です。遊んでいては当然ついていけません。当然の報いです。努力してないんですから。

進級したければ勉強してください。これしか言いようがありません。勉強せずに成績が上がる奇抜なアイデアを持っている人なら別ですが、そうではない大多数の人は、とにかく勉強してください。

そうじゃないと進級できないんです。薬剤師になることもできないのです。

 

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 あなたがもし「薬剤師になりたい」「遊びたい」を2つ持っていたとしたら、どっちかを今すぐ捨ててください。薬剤師になりたいのなら6年間を勉強に投じてください。

 

遊びたいのなら薬学部なんて今すぐやめてもっと楽な学部に移ってください。あなたの中でどっちが大きいですか?

 

大学生として遊びたいですか?薬剤師という国家資格が欲しいですか?

はっきり言ってこの2択でしょう。

 

大学生、遊びたいですもんね。いろいろやりたいことありますもんね。でも無理です。薬学部にいる限り、無理です。それがいやだというのなら、薬学部なんて今すぐやめてください。続くはずがありません。

国家資格を取りたいという強い覚悟がないような人には、薬学部は卒業できません。半端な覚悟しかできないのなら、すぐに出て行ってください。

 

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 薬学部をやめたくて迷っているのであれば、自分の中で「薬剤師になりたい」「遊びたい」のどっちが大きいのかよく考えてみてください。

薬剤師になりたいのであれば、ガチで勉強しましょう。すべてを捨てて勉強しましょう。それでもダメになってから「薬学部を辞める」という手段を取りましょう。「遊びたい」のであれば、そもそも薬学部を選んだことじたいが間違いです。さっさと行ってどうぞです。

どうぞ退学してください。

 

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 大学を辞めること自体は簡単ですが、その後は大変です。高卒として働くのも結構ですが、「6年制薬学部を卒業した薬剤師」とは本当に格が違います。学歴が違う、それだけで選べる仕事は全く異なります。生涯年収も変わりますし、社会的な扱いも異なります。

 

今の日本は「大卒」に優しい社会です。どんなバカな大学を出ていようと卒業さえしていれば「大卒」として扱ってもらえます。高年収で有名なMRにだって就職できます。

 

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 しかし「高卒」だと、どれだけ地頭がよかろうとMRになることはできません。社会はそういうものです。学歴偏重は現代日本に深く根ざした問題です。高卒になると選べる仕事が狭くなってしまいます。

その点薬剤師は「6年制学士」という扱いになりますので、「修士」とほぼ同じです。製薬会社の研究・開発職に就くことだってできます。選べる道の数がまったく違うのです。

 

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 高卒が悪いこととは言いませんが、薬剤師と同じような道を選べるかというと、それは誤認識であることを伝えたいです。

やはり現代は「大卒」に優しい時代です。あなたが確固として「やりたいこと」があるのなら話は別ですが、「とりあえずもう勉強したくない」「薬学部は嫌だけど次に行く場所のあてもない」みたいな考えなのなら、とりあえず薬学部でやれるだけやって、それから別の学部を検討することをおすすめします。

 

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 MRだったら文系学部卒業の大学生でも就職できますしね。むしろ文系学生の方が数が多いくらいですから。それだけ「大卒」の肩書は大切なのです。

MRになると外資系で成績がよかったりすると30ちょっとで1000万行くこともあるとか。景気のいい話ですね…

 あなたがすぐに働いてお金をためたい、とかこういう仕事をしたい、とかビジョンがあるのならばすぐに行動に移すべきです。若い時代は貴重ですから。

しかし、そういうものがなく漠然と「やめたい…」と思うのであれば、まずは勉強に打ち込みましょう。それでもダメだったときは、改めて考えなおしましょう。

 

薬学部、しんどいですけど、「薬剤師」は取っておいて損はないですよ。

 

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 本気で辞めたい人は行動してください。そうじゃない人は、もう少し勉強への姿勢を見直すことをおすすめします。

あなたは本当に「薬剤師になりたい」ですか?自分としっかり対話して答えを見つけてください。