薬剤師は「安定した」職業としてよく挙げられます。
国家資格が必要な職業ですし、今後AI化が進んだとしてもそうそう簡単には機械には奪われない職種です。
他の職業と比べると専門性が高く、自動化が進む今後の世の中でも比較的生き残っていきやすい仕事であることは予測されます。
そもそも、10年前なんて「薬剤師は過剰飽和でワーキングプアになる!」なんてあれほど騒いでいたのに、現状を見るとまだまだ薬剤師飽和には遠い状態です。地方の薬剤師の待遇の良さは目を見張るものがありますからね。
薬剤師の給料が安いかは、職種による
そんな「安定した」薬剤師ですが、実際にもらえる給料が高いかどうかは別問題です。薬剤師の給料は高い、そのようなイメージを持っているとショックを受けるかもしれません。
ぶっちゃけ給料、高くないし。
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昔話ですが、大学の後輩が現役の薬剤師さんに「薬剤師って初任給50万円もらえるんですよね!薬剤師って稼げる職業なんですよね!!」って言っていたことがあります。その時の薬剤師さんの引きつり笑顔は忘れられませんでした…ちなみにその薬剤師さんは大学病院勤務です。お察しです。
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薬剤師の給料ですが、職種によって大きく異なります。大まかにランク分けすると
製薬会社>ドラッグストア>調剤薬局>病院
になります。(会社や職種によります)
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製薬会社、特にMRはすごいですね。住宅手当もありますし外勤手当もある。お金に困ることなどほぼないでしょう。MRをしていて貯金ができない知人がいましたが、どんだけお金遣いが荒いんだと呆れました。
とにかくお金を稼ぎたいなら製薬会社のMRでしょう。長続きするかは別問題ですが。
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企業によりますが、MRでしたら新卒薬剤師でも500~600万円ほどは得ることができます。もう少し慣れてきて、30歳くらいになってくると700~800万円ほどでしょうか。まあ、そのころには転職している人も多いのですが…(特に女性)
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ドラッグストア薬剤師も高い給料を見込める職業です。調剤薬局併設型の店舗だったら調剤の勉強もしながらOTCの勉強もできるのでコスパがいいですね。
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しかし、レジ打ち、品出し、棚卸など調剤薬局とは関係ない仕事をすることが多い、また開店から閉店まで勤務しなければならないので労働時間は結構長いです。力仕事が多いので腰を痛める人も多いですしね。ただ給与で言えばMRに次ぐ高さでしょう。
MRと違って車の運転をしなくてよいので、免許がなくても大丈夫です。事故の心配もいらないのも大きいですね。
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調剤薬局は400~600万円
調剤薬局はその薬剤師の勤務体制によります。アルバイトで働く場合はもちろん収入は低いですし、管理薬剤師ならその責任の分給与は高くなります。また派遣薬剤師だと週3日で月給30万円なんてことも実現できます。
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薬剤師の初任給としては400万円ほどを想定しておいた方がいいでしょう。地方の薬剤師なら更に給与が高くなるのも考えられます。これは基本的に都心部より地方のほうが薬剤師に飢えていることが多いからです。
薬科大学が多い県の場合は地方でも給与が低くなってしまいますが…
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ただ、地元で働くのであれば調剤薬局はコスパがいいと思います。転勤があっても県内に限れば、車で出勤できますし…細く長く働くならおすすめです。
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何を重要視するかは薬剤師によって異なりますが「勤務地」「拘束時間が長すぎないこと」を配慮するのであれば、調剤薬局はおすすめです。決して給与が飛びぬけて高いわけではありませんが、安定感はあります。
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勤務地が薬剤師不足の場合はべらぼうに高い給与を得ることができます。時給換算すると4000円とかあります。ただし薬剤師飽和の地域では地方だろうと給与テーブルは低いので、なんか不公平ですね。働き口は多くないし給料は安いしって…
病院薬剤師への就職は…よく考えて
あまりおすすめしないのが病院薬剤師です。
理由ははっきりしていて、「激務のくせに給料が安い」からです。
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給料が高い病院は高確率でわけありです(一人で業務を回さざるをえない環境など)。
よく「病院薬剤師は若いうちに経験しておけ」と言われますが、この言葉にはいろいろな意味が含まれます。
病院薬剤師は激務であるから、体力があるうちじゃないと耐えられない、とか、給料が安いから、結婚後は勤まらない、とか…
いちど待遇のよい環境で就職してしまうと、ブラックな病院薬剤師なんてやってられません。6年も大学に通ったのにカスみたいな給料しか出さない病院もありますし…
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強い向学心がある方ならともかく、そうではない人がなんとなく病院薬剤師を選ぶとキツイでしょう。激務だわ給料は安いわではやっていられません。
どうしても勉強したいことがあるなら別ですが…
意識高い人じゃないとやってられないです。
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初任給は約300万円です。病院薬剤師も昇給するとあるポイントで調剤薬局薬剤師との年収が逆転するのですが、問題はそのポイントまで病院薬剤師を継続できるのかどうか……。
現実問題、病院薬剤師として何年も勤めている人って、かなりのレアキャラです。よほど職場との相性が良かったのか、専門薬剤師など、取りたい資格のために勉強しているのか…
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薬学部の学費は高いです。国公立はともかくとして、私立大学なら6年間で1200万円はかかります。馬鹿みたいに高い。薬剤師はコスパ悪い。この学費に見合う給料とはとても思えません。
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果たして、この1200万円を投じてでも選ぶ就職先が病院で本当にいいのか?それはコスパのいい選択肢なのか?ここは議論が起きるところです。
病院薬剤師として臨床経験を積むことは非常に重要と思いますが、お金との兼ね合いを考えると厳しいかもしれません。奨学金とか借りてるケースは特に厳しい…
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地元で実家から病院薬剤師として働くのならまだいいかもしれませんね。一人暮らしで病院薬剤師として働くと、結構ヘビーな財布事情になります。
特に、製薬会社など比較的高給な職種から病院薬剤師に転職すると、そのギャップに驚くことは避けられないでしょう。
普通に10万くらい月収がダウンして、生活スタイルの調整に困惑する人も多いです。家賃補助などの「見えない収入」も消え去りますからね。
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結局、薬剤師の給料は安いのか
「職種による」というのが結論です。
MRを選択すればほぼ高給ですし、病院薬剤師を選択すればまずMRと同等の給料は望めません。
医療現場ではMRは病院薬剤師にぺこぺこする姿をよく見かけますが、実際に貰っているお金は2倍以上の差がある…と考えるとなかなか身につまされるものがあります。
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ポイントは、自分が薬剤師になって「何を実現したいのか」でしょう。
お金を稼ぎたいのですか?地元でゆっくり働きたいのですか?臨床経験を積んで薬剤師としてスキルアップしたいのですか?
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そこを学生時代のうちに丁寧に考えておく必要があります。
私も含めてですが、薬学生は「薬剤師になること」に躍起になって、薬剤師になった後のことを考えないことがあります。
免許は大切ですけど、免許をとってからの人生のほうが長いですからね。卒業後、自分はどうやって生きていくのか。学生時代から意識する必要はあるでしょう。
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「薬剤師」という国家資格に踊らされて、それを取得した後のことは考えていますか?どんなキャリアプランで生きていこうか考えていましたか?
私は大学生活後半までさっぱり考えていませんでした。毎日の試験やレポート、実習でつぶされそうになっていて、免許を取ることで頭がいっぱいになっていて、その先のことに目が行っていませんでした。
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しかし、実際の人生は、卒業後のほうが長いのです。
「免許を取ったら適当にそのへんの薬局に就職して適当に働いて…」それもいいですが、本当にそれがあなたの望むキャリアプランでしょうか。
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あなたはどんな薬剤師になりたいですか?どんなキャリアを歩んでいきたいですか?どのような形で患者さんの役に立ちたいと思いますか?
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そのために、新卒ではどこの職種に就職して、それからどのようなキャリアをたどっていきたいと思いますか?
もちろん計画通りにはいきません。私も新卒で「稼げるから」って理由でMRになりましたが、コミュ障なのに加えて激務なのがつらすぎて逃走しました。
向いてないことをお金のためにやろうとするから失敗したという悲しい例です。
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製薬会社から逃亡して病院薬剤師。
そしてその病院薬剤師もわずか1年で逃亡しました。なんという逃げ足の速さ。計画性がないときたらありゃしません。
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薬剤師のコスパは、薬剤師による
結局、薬剤師という職業のコスパの良さは、それぞれの薬剤師の経歴や能力に一存するというしかできません。
いくら資格をとっていても数十年タンスに免許証をしまったままでは無意味ですし、修羅場のような職場をいくつも潜り抜けてきた薬剤師なら派遣薬剤師で週3日勤務で月給35万円なども実現可能です。
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さらに国公立大学か私立大学卒業かで、薬剤師のコスパは大きく変わります。薬剤師になるための学費は高く、それゆえに卒業後どのような進路を選ぶのか慎重に検討する必要があります。
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まとめとして言えるのは「薬剤師はすごく稼げる職業ではない」「もしも稼ぎたいのであれば、製薬会社でMRになるか、ドラッグストアに就職する」「病院薬剤師は稼げる職場は少ないので、いろいろな意味で『若いうちに』経験しておいた方がいい」ということです。
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