薬剤師のメソッド

進学、就職、国家試験、転職など薬剤師の人生についていろいろ

【病院】薬剤師は過労死する前に転職すればいい。今の職場で我慢する必要はなし【調剤薬局】

「とりあえず三年」という言葉があります。

今の職場でとりあえず三年経験を積み、キャリアを作ってから次の職場に移るべきであるという考え方です。

昔からことわざでも「石の上にも三年」って言いますよね。

個人的にはこの「とりあえず三年」って言葉、好きじゃないです。

思考停止にしか聞こえない。

どれだけしんどくても、つらくても、理不尽だと思っても、おかしいと思っても、自分じゃなく相手が悪いと思っても、3年も耐え続ける意味が分からない。

この現代に、3年もわざわざクソみたいな職場にしがみつくメリットというのが理解できないのです。

終身雇用の時代ならまだよかった

戦後のイケイケドンドン好景気の時代ならまだ理解できます。

バブルがはじける前までの時代ですね。

このころならまだ「年功序列」だの「終身雇用」だのいう言葉が意味を持っていましたから、そのために「社員は会社に心身をささげる」という図式が成立していてもおかしくはありません。武士時代の封建制度と一緒ですね。自分の生活を支えてもらう代わりに何かがあれば「いざ鎌倉」とはせ参じる必要がある。ギブ&テイクが成り立っていたわけです。

今では考えられませんが、昭和では「モーレツ社員」だの「24時間働けますか」などのフレーズが当たり前に使われていたのです。

1970年の「モーレツ社員」 帰宅は週に1度、上司の人形を竹刀でボコボコに叩きまくる | キャリコネニュース

このころは異常な働き方ですね…「大日本帝国」時代のやり方をいまだに踏襲していた世代でしょうか。働くことは軍で戦うことと同義だったのかも知れません。なんにせよこの働き方は今じゃ考えられませんね。一部のブラック企業は未だにこうなのかもしれませんが…

「24時間戦えますか。」は“ブラック”だったのか?リゲインと栄養ドリンクの時代 - いまトピ

昔は栄養ドリンクのCMでこんなキャッチコピーが人気を集めるような時代だったのです。今ではネットで超叩かれるでしょうね。最近では「絶対に休めないあなたに!」というコピーで販売されている風邪薬が個人的には気に入りませんが…いや…風邪ひいたら休んでくれよ…移すの迷惑だから引っ込んでてくれよ…って思いますが…

 

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 とにかく、昔は「一所懸命働いて会社に尽くして、そのぶん一生を会社に支えてもらう」という生き方が当たり前だったのです。会社に永久就職ってことですね。女性はともかく男性はそういう生き方が当然の時代だったのです。そんな人たちからしたら、「とりあえず3年」という考え方は当たり前であり、新人として3年は経験を積み、徐々に会社に体質をなじませていく生き方をするのは、疑うまでもなく自然な行為だったのです。

 

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会社はあなたの将来を保証してくれない

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しかし時代は変わりました。バブル崩壊後のリストラの嵐、就職氷河期、リーマンショック、最近は前までより景気は上向き気味ですが、それでも「過労死」「ブラック労働」の報道は絶えることはありません。一般の会社員から医者まで、過労による死という悲しい結末を迎える人の報道ばかりです。はたして「現代だから過労死した」のか「前から過労死する人はいたがスポットライトが当てられなかった」だけなのか…想像すると怖いですが。

医師過労死:遺族が提訴 時間外「月300時間」 水戸 - 毎日新聞

時間外労働月300時間っておかしいでしょう…人間の働ける量を超えています。いくら医者が激務だからと言っても人間として超えていけないラインを越えています。これでは心身が崩壊して健康を保てなくなることは、それこそ「医者」なら十分すぎるほど理解しているでしょう。

 

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 かの有名な電通事件だってそうです。激務、パワハラ、セクハラ、長時間の拘束…被害女性は末期にはうつ病に罹患していたとされています。精神を破壊するもっとも有効な手段は「睡眠を奪う」ことだそうです。この被害女性は先輩に飲み会で夜通し説教されたり、30時間以上の会社での拘束を食らったりして、肉体的にも精神的にも追い詰められていたようです。眠りを奪われることで正常な判断を失って、自ら命を失う行動に出ざるを得なかったのでしょう。非常に残酷極まりない例だと思いますし、わたしはこの事件を永久に日本社会から忘れさせてはならないと思っています。「カローシ」が世界語になるなんて、こんな情けない話があってなるものか。

【事例紹介】1991年 電通の過労自殺事件を紹介します。 - 過労死防止基本法制定を求める署名にご協力ください!

ちなみに電通は30年近く前にも同じような事件を起こしています。学習しませんね…おそらく、ここのマッチョな異常体質になじめない人はすぐに消えて行って、順応した超マッチョだけが会社を仕切るようになった結果、新人いびりが激化していったんじゃないでしょうか。「俺たちができるんだからお前らもできて当然だ」と。むごたらしい話ですし、被害女性は「電通」以外にもいくらでも選べる道があったのに、どうしてそんな結末を選ぶしかなかったのか。無念でしかありません。

 

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 昔はともかく、今は「終身雇用」なんてありません。そりゃ大企業ならあるかもしれませんが、この変化のおびただしい時代です。新卒で入った会社が定年になるまであなたの生活を保障してくれるなんて、そんな都合のいい未来があるとは限りません。わたしは製薬会社にいましたが、製薬業界なんて常に「あそことあそこが合併する」なんて噂が流れては消えて行ったり、実現したりの世界でした。昨日まで通っていた会社が別の名前になって、「部長」は二人もいらないから片方はどっか行ってね…みたいなことも日常的にありました。

「会社があなたを守ってくれる」時代なんてとっくに終わったのです。

 

壊れる前に逃げよう、転職しよう

わたしはかつて病院薬剤師をしていました。「病院薬剤師なら最先端の医療を学べる、チーム医療を習得できる、薬剤師としてのレベルアップにつながる」みたいな理由で現場に飛び込みましたが、これが過酷な状況で…

 

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 給料は安いわ、朝から深夜(~翌朝)まで労働だわ、職場内の人間関係は死ぬほど悪いわで、入って1か月で胃がやられてしまいました。もう何を信用したらいいかわからない状況でしたね。同僚も先輩も上司もみんな怖かったし、他職種は薬剤師をバカにしてくるし、患者さんにもうかつに接触できないし、わからないことは聞いても「はああ?!」みたいなキレ気味で返事されるし、「この職場でどう生きていけばいいのか…」と本気で悩みました。私が夢見た「病院薬剤師」とはどこに行ったのか…私は何を学んで何を活かせばいいのか…こんな地獄の職場で…と途方に暮れてしまいました。

 

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 精神を病むと、肉体的にも変化が出てきました。まず睡眠がとれなくなりますし、食事ものどを通らなくなります。何を見ても聴いても反応が薄くなりますし、世の中のすべてがむなしいと思えますし、自分の存在さえも「ここにいても意味なくない…?」と思います。これはやばいです。完全に病んでいます。こんな日々が何か月も続くようになり、その原因は明らかに職場にあり、「ここを抜けださない限り私の人生は変わらない」と直感しました。

速攻で転職エージェントに相談し、いくつか調剤薬局を紹介していただき、見学・書類作成・面接を経て、合格しました。

 

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 逃げるように1年で消えていった病院薬剤師ですが、結果として転職してよかったです。はちゃめちゃだった体調も薬局勤務に切り替えてからは戻りましたし、精神的にも安定しました。つくづくあの病院での世界が異常だったのだと悟りました。「職場にいるうちはおかしいと気づかない」のですが、外から出てみるとやっぱり普通じゃなかったのです。日常的に怒鳴られたり教えてほしいことを教えてもらえなかったり、他人の喧嘩に巻き込まれたり、そんなことが毎日のルーチンで「薬剤師の世界はこれが当たり前なんだ…」と思っていましたが、全然そんなことありませんでした。あの職場がおかしかっただけで、ほかにはまともな世界はいくらでもあるのです。「とりあえず3年」とか言わなくて本当に良かった。

 

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 薬剤師の過労死事件に関しては以下サイトを参照ください。ドラッグストア勤務の薬剤師が過労死してしまった事例です。過酷な環境に置かれてしまったばっかりに真面目に生きる薬剤師がその若い命と未来を奪われてしまう。許しがたい行為です。

スギヤマ薬品の薬剤師杉山貴紀は何故過労死したのか?

心身が壊れる前に手を打とう

一回精神的・肉体的に崩壊すると、そこから立て直すには長い時間が必要になります。治療もすぐに効果が出るわけではありませんし、それこそ年単位の時間を使わないと元通りにはなりません。さらに言うなら、心の病気になったなら「元に戻る」という概念はあまりありません。一回染まった白い布がもう白には戻れないように、それまでの自分に戻る、というのを希望するのは難しいんじゃないでしょうか。「病気を経て立ちなおった自分」になることはできても「病気になる前の自分」には戻れないものです。時間は一方向に進むものですから。

 

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 ですので、今過重労働やパワハラ・セクハラなどに悩んでいる薬剤師の方は、どうか心身を壊す前に「退職・転職・休職」の判断をとることをおすすめします。はっきり言って我慢してもあまりいいことないです。周りにとっては当たり前でも自分にとっては血反吐を吐くくらい大変なことだったりしますし…自分の体調を一番よく知っているのは自分です。「あれ、これおかしいぞ」と気づいたら、自分をだましだましするのではなく、早急に専門医に診てもらって、場合によっては診断書を書いてもらうのも必要だと思います。

 

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 薬剤師は楽な仕事ではありません。責任も多いし作業量も多いし、クレームもあるし他職種との折衝もありますし、職場内の人間関係だって良好なところは少ないし、いまいちうまくいかない現場が多いのは当然です。私の知人の薬剤師もほぼ転職経験者です。転職をせずに5年以上働いている薬剤師のほうが少ないんじゃないでしょうか。それくらいいまどきの薬剤師にとって「転職」って当たり前の選択肢です。

 

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 薬剤師免許は一生ものですし、すぐに転職したからと言って剥奪されるようなものじゃありません。犯罪者ならともかく…。普通のサラリーマンに比べて薬剤師が転職しやすい環境であり、スキルアップ・ワークライフバランス改善のために職場を変えるのはごくごく自然なことなのです。

万が一心身を病んだり、過労死してしまったりしてからじゃ遅いです。自分を変えられるのは自分だけです。どうか「まだやれる」と過信せずに、今の職場で本当に自分が続けていられるのか、自分のことをよく振り返ってみてください。

 

 

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 健康に勝る仕事もありませんし、心身を削りながら働く必要もありません。あまりにも不愉快な人間関係であったなら、早めに手を打った方がいいかと思います。私の友人にもいじめに遭った薬剤師はたくさんいますが、みんな早急に転職しています。「逃げ」という手は恥ずかしい、と思う人もいるかもしれませんが、全然そんなことありません。自分の生存のためにはどんなことも活用すべきです。

 

 自分の未来を拓くのは自分です。わたしたちはもう子供ではありません。先生や親に進路を示してもらう年齢ではありません。わたしたちは責任がある代わりに自由でもあります。どんな道を選ぼうと周りの大人にあれこれ言われる筋合いはありません。自分の幸せのために「転職」という道を選んだっていいのです。

 

せっかく「薬剤師」という一生モノの免許を持っているのですから、それを有意義に楽しく活かせる環境を探していきましょう。つまらない人間関係の問題に頭を悩ませるのは、時間の浪費であり、人生の無駄遣いですよ。

 

 

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