薬剤師のメソッド

進学、就職、国家試験、転職など薬剤師の人生についていろいろ

「薬剤師に向いていない」人の特徴と、薬剤師に向いていないと言われ続けた私

どんな仕事にも言えることですが、向き不向きというものがあります。

これは「努力で乗り越えろ」とかいう精神論では通用しないと思うのです。

鳥に早く走れと言われても無理なように、魚に空を飛べと言われても無理なように、何事にも適した人とそうではない人がいるのです。

そしてそれは、薬剤師という仕事においても同じことが言えます。

薬学部の勉強を6年間乗り越えて、薬剤師国家試験を突破して、免許を取得して。

さあこれで晴れて薬剤師だ、薬剤師としてばりばり働くぞ……最初のうちはそんな風に思うかもしれません。

しかし、もし、あなたが「薬剤師に向いていない」人だった場合、どうすればいいのでしょうか?

わたしが思う「薬剤師に向いていない人」について書きたいと思います。

薬剤師に向いていない人とは

1勉強が嫌いな人

勉強が嫌いな人がどうして6年間の薬学部の勉強生活を乗り越えられたのかは甚だ疑問ですが、薬剤師は勉強が必要な仕事です。基本的に就職してからも勉強の連続です。既存の物事を学ぶのは当然として、最近の知見も勉強するのが薬剤師のたしなみです。製薬会社のMRが勉強会などを開いてくれることもありますが、基本的にはあれは自社製品のアピールなので、フェアな視点での紹介ではないことは覚えておいてください。病気や薬について色眼鏡なしでしっかり勉強したいと思うならば、専門書を買ってちゃんと勉強するのが筋でしょう。

 

病気がみえる 〈vol.7〉 脳・神経

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 免許を取ったからそれで終わり!!もう勉強しない!!!って態度の薬剤師では、患者や同業者から信頼を得られる薬剤師にはならないでしょう。さすがにあの6年間の薬学部生活を経て薬剤師になったのだから勉強嫌いの人は少ないかと思いますが…やはり常に新しいことに興味を持ち、疑問を解決していく姿勢は大切かと思います。

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余談になりますが、オリンピック2連覇した羽生結弦選手は足の怪我でスケートができない間、論文を読んだり物理学の勉強をしたりして「勝つスケート」の分析を行っていたようです。やはり超一流のアスリートとなると、普段の練習が多いことも加えて、より良い結果に向けての研究にも人一倍時間を割くのですね…恐れ入ります。

 

2 計算ができない人

日常業務として発生する計算。決してすごく難しい数学を使うわけではないのですが、瞬時に数の計算ができないと仕事が遅くなりがちです。何を何シート、あと何カプセル分ハサミで切ればいいか……このシロップは何パーセントだから何ミリリットルで希釈して何ミリリットルのびんに入れたらいいのか…ここでの計算が迅速にできると正確で素早い調剤につながります。何度も繰り返して調剤に慣れれば自然とスピードは上がってきますが、あまりにも計算を間違える人は厳しいかもしれません。28日分なのに30錠用意したりを繰り返すような人はちょっとやばいでしょう。

 

3 不器用な人

はい、わたしです。とても不器用で、OSCEは死にそうになりながら練習しました。こんなに不器用な薬剤師がこの世に存在していいのかってくらい不器用です。OSCEも国家試験もなんで合格したのか自分で自分がよくわからないような状態です。

 

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 特に「軟膏」が本当に苦手で、あの容器の中に空気が入らず軟膏を詰め込む作業が今でも苦手です。たんっ!と置いて気泡を追い出すのですがあまりうまくは…表面をきれいに塗りこむ作業も苦手です…お察しの通りケーキのクリームデコレーションなんかもとても苦手です。あと、へらでぐりぐりと混合するあの作業も苦手です。ロスなく混ぜて容器に詰め込む作業がいまだに苦手です。不器用つらい。以前見学させていただいた薬剤師歴約40年の人のやる軟膏調剤は魔法のようにスピーディでロスなく美しかったので、匠の技とはこのことか…と感心しました。

 

手先の細かい作業が求められる仕事ですので、わたしのように非常に不器用な人が薬剤師をやるとしんどいかもしれません。人より倍練習して慣れるしかありませんね…

 

4 そそっかしい人

処方箋を見て「あ!アルマールだ!」と言ってアマリールを取りに行くような人とか、サインバルタ20mgって書いてあるのに30mgカプセルを取りに行くような人は大変です。まずはよく処方箋を見て確認しましょう。ワーキングメモリー(作動記憶)が弱い人は厳しいかもしれません。処方箋を見た次の瞬間記憶が飛んでしまうタイプの人だと、簡単なピッキングでもつまずいてしまうかもしれません…

 

5 コミュ障

これは本当に思うのですが、患者さんの側に立って考えられない薬剤師は本当にひどいと思います。なにも「おつらいですね」と言えと言っているわけではありませんが、もう少しこう、医療者として患者さんをいたわる態度をとれないのか?と思う薬剤師はたまにいます。

 

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 たとえばやたら大声で患者の名前や薬の名前、病気について口にする薬剤師。耳が遠い年配の方ならともかく、そうでもないのにいちいち大声で言う意味が果たしてあるでしょうか?ほかに患者さんもいるのにそこで声のボリュームを調整しないのは一種のハラスメントじゃないでしょうか?個人的にこれは自分が患者として行ったときに感じたことでした。

 

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 あと全く患者の話を聞かずに一方的に説明をする薬剤師、やたら居丈高な態度をとる薬剤師、「俺は薬剤師なんだから黙って言うこと聞けや」ってエラそうなオーラがにじみ出てる痛々しい薬剤師…薬剤師ってなんか謎のプライドが高い人が多くて同族嫌悪してしまうときがあります。医者ごっこしてるんだかなんだか知らないけど、面の皮が厚い人が多いですよね。なんであんなに根拠なくエラそうなのかよくわからないです。

 

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 で、個人的には薬剤師はコミュ障が多いと思います。

他人に関心がない、適切な相槌の打ち方を知らない、人の話に反論で返す、意味のないイザコザをわざわざ作る、自分が折れるということを知らない、他人との壁が異様に厚い、自分理論だけを繰り広げて人の話を聞かない…なんかもう残念な性格の人が多いです、もちろん私も含めて。これはなんなんでしょうね?薬学部以外の世界を知らないから、つい井の中の蛙になってしまう人が多いのでしょうか?頭でっかちな人が多い印象が非常に強いです。

 

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 いま薬学生の方は、コミュ障な薬剤師にならないように気を付けましょう。薬剤師は技術職であると同時に、コミュニケーションを必要とする仕事です。はっきり言って、人の痛みや患者さんのしんどさを理解しようとしない薬剤師は、医療者としてどうかと思います。「おつらいですね」と言えばいいってもんじゃありません。

 

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 別にカウンセラーになれってわけじゃありませんが、患者さんの今の問題を的確に拾い上げて今後の治療につなげていくためには、ただ薬を渡しているだけのピッキングマシーンではいけないと思います。たまに患者さんの病気をバカにする発言をする薬剤師に出会いますが、神経を疑います。

 

薬剤師に向いていないと言われ続けてきました

薬剤師に向いているのは「勉強好き」「手先が器用」「コミュ力が高い」「倫理観がある」人だと思います。あくまで私見ですが。

 

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 さて、わたしの場合はどうだったでしょう。

思えば高校時代、理科の実験の時間でも事件を起こし続けていたのが私でした。アルコールランプを使えばやけどをし、塩酸を使えば怪我をし、トラブルが続きまくっていました。そしてコミュ障もひどく、友達も少なかったです。

しかし「薬剤師の免許を取れば人生が安定する」と思っていた私は、薬学部を目指すことになります。今から10年ほど前にも「薬剤師は安定した職業」という説はあったのです。

 

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 しかし大学に入ると一転。実習がもう大変で大変で、実験がミスしまくりで、もうわたしは実験役から外されるようになりました。チームの中でもハブ状態です。戦力外通告ですね。いつもチームのほかの誰かが実験に取り組むことによってわたしの実験スキルはまったく育ちませんでした。

 

研究室でも同じことです。実験がまったくできず先輩や先生がドン引きするレベル。一所懸命やっているのですが結果が出ないんですよね…「学会があるんだけど…何発表できる…?」「何もないです……」状態です。ほかのメンバーがすいすい結果を出せているのが不思議で仕方ありませんでした。今思えばわたしはなぜ卒業できたのか…よくあんなレベルで卒業できたな…

 

そして酷かったのが実務実習です。パワハラを受けまくった実習ですが、連日にわたって「薬剤師に向いていない」とねちねち責められ続けました。

 

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 これは精神的に堪えますね。薬剤師を育てる実務実習のはずなのに、連日のように「薬剤師に向いていない」って言われるんですから、ほぼ洗脳ですよ。もうこの実習ですっかり自分のことを「薬剤師に向いていない」と思い込む(というか事実)ようになりました。この実習のせいで、わたしは薬剤師に向いていないと思い、MRになることを決めました…まあMRもコミュ障で結局転職したのですが…

 

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薬剤師に向いていない→職場が向いていなかった?

転職した病院でも、毎日のように…もういやすぎてあまり記憶がありませんが…「へたくそ」「不器用」「アホ」「役立たず」「でくのぼう」「引っ込んでろ」……ありとあらゆることを言われ、憔悴していました…どうしてわたしに病院薬剤師ができると思っていたのでしょう…忙しい現場に自分はまったくマッチしていませんでした…どんくさいわたしには急性期の病院はさっぱりダメでした…そしてそんな自分を教育してもらえるような環境もありませんでした…毎日のように「薬剤師やめたら?」「なんで6年制出たの?」「違う仕事に行けば?」と言われ続けていました…つらかったです…給料も安いしこき使われるし疲れで判断力もおかしくなっていくしミスは増えるし勉強する余裕はないし本当に…つらい…病的な状態に陥っていました。

 

あげくのはてには同期にまで「そんな考え方では薬剤師としてやっていけない」って説教されましたからね。いや、なんでお前にそんなこと言われなきゃいけないのよ。少なくともお前よりかはこっちのほうが調剤早いし服薬指導も丁寧にしてるつもりなんだけど。お前こそ臨床一年程度しかかじってないくせになにをそこまで先輩風吹かせてんだよ、ふざけんな、とかなりイラついた思い出があります。

 

とにかく四面楚歌でした。自分がなぜ薬剤師をしているのか、自分が本当に薬剤師をしていいのか、本気で悩んでしまい、精神的にも抑うつ状態になってしまいました。

 

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 こんな状態になってしまったからには、早く逃げなければ!転職転職!!というわけで、あわてて転職活動を始めました。あのよく聞く「薬キャリ 」です。いくつか求人を紹介していただき、自分の条件にマッチしていそうな調剤薬局をいくつか訪問し、面接を受けたりしました。

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転職後ですが、あれほど「薬剤師に向いていない」と言われていたわたしが、とんと言われなくなりました。いやたまには「ここはこうしてね」って言われることもありますが、今までの「ほんとなんで薬剤師してんの?」「迷惑だから引っ込んでろよ」みたいな状態とはまったく違っていて、天地がひっくり返る驚きでした。

もしかしたら、薬剤師がわたしに向いていないのではなく、その環境がわたしに合っていなかっただけなのではないか?と思うようになりました。

 

 

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要はスピーディな調剤ばかりが求められる職場より、ゆっくり丁寧にできる職場のほうがいいとか。苦手な軟膏調剤が多い職場より、ピッキングが多い職場のほうがスムーズにできるとか。何種類もの薬を一度に出す職場より、一人あたりの薬の種類がある程度パターン化しているとか。一人あたりの処方箋枚数が多い職場より、少ない職場の方がいいとか……

 

薬剤師に向いている、向いていないと言うよりかは「その職場に向いている、向いていないか」が重要なのかもしれない、と思いました。今の調剤薬局に転職してからは大きなトラブルは発生していませんから。常にもめごとだらけで「早く辞めろや」と睨まれていたわたしでさえそんなことになるんです。やっぱり、転職したり環境を変えたりすることは大きな効果があるのです。

 

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 魚だって海にしか住めないのもいれば、川にしか住めないのもいます。薬剤師だって同じです。自分に合う場所を探して動くのは当然のことです。

もし今の職場でつぶれそうになって「薬剤師なんて自分には無理なんだ…」とふさぎこみそうになっている場合には、転職エージェントなどに連絡してひとまず相談してみてはいかがでしょうか。

「自分の居場所はここだけじゃない」「自分の能力、適性を認めてもらえるほかの場所がある」と思えることが大事だと思います。

 

 

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わたしもあの病院で働き続けていたらどんなことになっていたか、考えただけでもぞっとします。本当に転職してよかったです。給料は安いわこき使われるわ人間関係は悪いわ、なんにもいいとこなかったです。ほんとイケダハ○ト的に言うなら、まだ病院薬剤師で消耗してるの?って感じです。ほんとに使いやすいですよねこのフレーズ。

 

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 やりがいやお金やプライドだって大事ですけれど、それ以上に自分の体や心を大切にしなくちゃいけません。

あなたが「自分は薬剤師に向いていない」と思っていても、もしかしたら「その職場があなたに合っていない」だけなのかもしれませんよ?

一人でも多くの薬剤師が生きやすい職場を選べることを願っています。

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