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薬剤師のメソッド

進学、就職、国家試験、転職など薬剤師の人生についていろいろ

【やりがい搾取】薬剤師のような医療職は総じてブラック職場になりやすい

医師、薬剤師、看護師、そのほかコメディカル。

医療にかかわる仕事は多種存在します。

それぞれ得意とする領域は異なりますが目的は共通しています。

「患者さんを健康にする」

このために医療職が存在すると言っても過言ではありません。

医療職は全国の医療機関で、日本の医療を向上させるために奮闘しています。

薬剤師のはしくれであるわたしも、陰ながらそれに貢献しているわけです。

医療職はブラックになりやすい

しかし、この医療職。

外から見ると「社会的地位が高い」「偉い仕事」「お給料が高そう」「やりがいがありそう」……などといいことずくめのように思えるかもしれません。

しかし必ずしもそうとは限りません。わたしは医療職は限りなくブラックになりやすい環境にあると思っています。というか、ブラックではない医療職は本当に少ないと思っています。医療職が働く環境が、一般企業とは全く違う基準で設定されているからです。

 

長時間労働

病院で働く薬剤師など、わかりやすい例でしょう。

看護師や医師でも構いません。

 

「病院でゆるくワークライフバランスを保ちながら働けている」医療職なんて聞いたことがありません。よほど余裕のある病院か、特殊な診療科でない限り、医療現場は常にきりきりまいです。人手が足りず、有休もおちおち使っていられません。

 

患者さんの状態が急変することもありますので、帰ろうとしてても突然仕事を再開、なんてことも普通にあります。患者さんを放置してしまったら大変なことになりますので。

 

また調剤薬局で働く場合は、近隣の医療機関の都合にも左右されます。年末年始のような繁忙期は特に大変です。調剤薬局が営業時間を「18時まで」としたとしても、隣のクリニックの診察が21時過ぎても終わらないようであれば、調剤薬局はそれを待たなければなりません。そのクリニックで診察を終えた患者さんが、処方箋をもって調剤薬局に来ることが容易に予想されるからです。

 

結果、既定の労働時間以上に働くことになります。調剤薬局薬剤師ならまだましな方です。もちろん店舗によりますが、繁忙期を除けばある程度はワークライフバランスを保って働くことができます。病院薬剤師を選んだ日にはもう大変です。精神と肉体を犠牲にして、医療に貢献する覚悟が必要となります。

method-of-pharmacist.hatenablog.com

病院薬剤師で意気揚々と就職した友人が、知らない間にこっそりと調剤薬局に転職していた……このようなケースは決して珍しくありません。病院薬剤師は過酷な世界なのです。

 

「医療」は「労働ではない」雰囲気

医療職をブラック化させている要因のひとつとして「医療をビジネスと考えるのは、医療職として真摯な態度ではない」という既成概念があるのではと思います。

 

医療機関で働く薬剤師って、お金に関して詳しくない人が多い印象があります。一般企業で働く人よりも労働と給料に対してシビアに考えていない印象があります。更にいうなら「医療でお金を要求するのは、医療職としてはしたない」という高潔さを持っている方を見かけます。

 

わたしはお金大好き仕事大嫌い人間なので、そのへんの考えに共感することは一切できませんでした。「病院薬剤師として働けているんだからそれだけで感謝しなきゃね」って職場の人に言われたときには「はぁ?????」って声が出かけたのを慌てて呑み込みました。わたしにとって病院薬剤師とは仕事の種類でしかなく、そこに「薬剤師としてのランクの高さ」とか「医療職としての誇り」は求めていませんでした。

 

わたしが病院薬剤師として働き続けることができなかったのは、そのへんのギャップを埋め合わせられなかったからでしょう。「働く以上、絶対にお金がほしい」と考える自分と「お金のために働くのは、卑しい考えだよね」と真顔で言う職場。相容れられるわけがありません。

 

やりがい搾取

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ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」で、新垣結衣が演じるヒロイン・森山みくりが発言した言葉です。「やりがい搾取」。わたしはこれこそ現代社会の闇そのものだと思います。そして、病院薬剤師が総じて「やりがい」を餌にぼろぼろに搾取されて、心身を壊してしまう原因はここにあると思います。

method-of-pharmacist.hatenablog.com

やっぱり「やりがい」だけで働いていけないんですよね。体もしんどいですし、お給料も安い。人間関係も悪いですし、抗がん剤を扱うときなんて暴露に細心の注意を払わなければならない。院内のヒエラルキーも圧倒的に医師>看護師>>>>>薬剤師(笑)ですし、「チーム医療」「処方提案」なんて妄想上の言葉です。肝心の「やりがい」も、患者さんの治療に寄り添えると思ったら意外にそうでもないんですよね。患者さんとじっくり話すのなら調剤薬局の方がましなんじゃないかと思えます。

 

病院薬剤師というのはしばしば「やりがい」という言葉を餌に若い薬学生や今後のキャリアが不安な薬剤師をおびき寄せ、過重労働で彼らの心身を破壊する可能性のある恐ろしい仕事です。すべての病院薬剤師がそうとは言いませんが、「楽な仕事」ではないことだけは確かです。「やりがい」がないとやっていけない仕事だということも確かです。

 

医療職というのはどうにもほかの職業と違って「お金を稼ぐために働くのははしたない」という、お金に対する「恥」の意識が強い傾向にある、とわたしは思います。

わたしはメーカーを経験した以上「お金をもらえない労働」より意味のないことは思えない性質ですので、医療職のこういう部分にはどうにも馴染めないところがあります。

 

たしかに医療職は責任も重いし、命を扱う仕事ですので、軽い気持ちでは就けない仕事です。しかしそれだけ大変な仕事をするのであれば、それに合わせたリターンがあってもいいのではないでしょうか。

 

働かせるだけ働かせて「お金がほしい?患者さんに恥ずかしいと思わないのか。休みがほしい?患者さんの方がもっとつらいんだぞ。もっとがんばれ、死ぬ気でやれ」と医療職を鞭打たせるようなことを続けていれば、いずれ電通過労死事件のようなことが起きかねないのでは…と恐ろしく思います。

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どれだけ尊い仕事をしても、たくさんの人を助けられたとしても、健康に勝る仕事などありません。自分が心身を壊してしまっては元も子もありません。

医療職とはその性質上とかく「ブラック」になりがちではありますが、今後改善されていくことを願っています。