薬剤師のメソッド

進学、就職、国家試験、転職など薬剤師の人生についていろいろ

【進学】薬剤師になりたい高校生・薬学部学生へ。じゃあ、薬剤師になったら、何をやりたいの?【就職】

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これを明確に言える薬学部の学生さんって、いったいどれくらいいるのでしょうか?

あなたはいかがでしょうか?

あなたは薬学部に通っているのですから、薬剤師にはなりたいでしょう。

国家試験を乗り越え、薬剤師の免許を取りたいと思ってはいるでしょう。

それでは、そのあとはいかがですか?

薬剤師の免許を取ってから、その先はどうなりたいと、考えたことはありますか?

薬剤師の免許を取ることで頭がいっぱいになって、自分がどのような仕事をしてみたいかとか、具体的にイメージしたことはありますか?

個人的に、薬学部は6年制に移行してからというもの、「免許予備校」への動きが加速していると感じます。

国家試験に合格するためには致し方ないのですが、どうも「免許を取ったその先」に関する教育面はまだ弱いのかなと感じる部分があります。

 大学の先生から言われた一言

私も学生時代、例にもれず「国家資格にとらわれていた学生」でした。

私は学生時代の成績が悪かったです。

決してなまけていたわけではありません。

ちゃんと毎日勉強していましたし、講義も聞いていました。

 

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しかし、どうにも要領が悪かった私は、人の倍以上努力しないと薬学部の講義についていくことができませんでした。

そんな私は学部内の成績も下から数えたほうが早い状態。

いつも遊んでいる人がそれならともかく、がり勉状態だった私がそのていたらくでは、なんだかかっこがつかないですよね…

 

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とにかく、成績が悪かった私は、大学の勉強にかじりつくので必死でした。

研究室にも通い詰めましたし、先生にも質問して「ここがどうしてこうなるのか」を必死で聞いていました。

わたしは不器用で勉強も得意ではなかったので、典型的な「薬剤師に向いていない」学生だったんですよね。

 

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ある日、いつものように先生のところに押しかけた私は、先生を質問攻めにしていました。

先生は質問に飽きたのか、「君は本当に勉強熱心だね」とあきれるように言いました。

「違います。私はどんくさくて要領が悪いだけです。勉強しないとついていけないんです。」

「ついていけないと都合が悪いの?」

「当たり前ですよ!勉強ができなかったら免許が取れないんですから!」

「そうなのか。ところで、君はなんで免許取れないと困るの?

「免許が取れないと薬剤師になれないからですよ!」

「じゃあ、薬剤師になれたら、もう勉強はしないの?」

「……」

「君は勉強熱心だけど、あくまで国家試験にとらわれた勉強しかしていない。免許を取ったその先のこと、考えてる?何を本当にやりたいかとか考えてる?低学年のうちだったら今のやり方でいいかもしれないけど、この先もずっと免許にとらわれた勉強をする気なの?薬学部はそういう学生を育てる学部ではなかったはずなんだけど」

 

 

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先生から言われたその言葉がガーンっと頭に響いて、しばらく離れることがありませんでした。

というのも、私は、入学して以来、「免許を取ること」しか考えていなかったからです。

勉強する理由も、まじめに講義を聴く理由も、すべては「薬剤師免許を取るため」。

それ以外の理由なんて考えていなかったし、考える必要もないと思っていました。

 

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正直な話、私の周囲の学生も同じような人が多かったです。

アカデミックとして「薬学」を学びたい人より、「免許を取りたい」人のほうが圧倒的に多かったのです。

私はそれを半ば常識のように思っていました。

 

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薬学部に入ったのだから、免許を取りたいと思うのは当たり前。

勉強するのも免許のため。

 

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 そう覚悟して勉強してきた。

それで何が間違っているんだ。

そう思っていたんです。

しかし、よくよく考えてみると、その考え方は偏っているのではないかと思わされました。

 

薬学部は薬剤師免許予備校ではない

当たり前のことなんですけど、大学は学問をおさめる場です。国家資格のために必死に勉強するのも薬学部の役割っちゃ枠割なんですけど、それだけではないんですよね。最近雨後の筍みたいにぼこぼこと薬学部ができまくってますけど、それで安易に入学する学生もいますけど、それでいいのか?とも思います。本人が覚悟して薬学部に入ったのなら別にいいですけど、そうじゃないならすごくしんどいし、なにより「免許のことしか考えない」学生の薬学部生活はつらい。

薬学部は免許予備校じゃありません。薬学を専門的に勉強する場所です。1年生から国家試験の練習をさせる大学もあるようですが、それって本当に薬学部として機能しているのか謎です。専門性・研究の能力というものはどぶに捨ててしまってもいいんでしょうか。免許さえ取れたらあとはなんでもいいんでしょうか?それとも教える教員がぜんぜん足りてないんでしょうか?ただでさえ薬学部の講師ってわけありの人材が多いというのに…

免許めあての6年間というのはとてもしんどいです。そして免許のことに躍起になりすぎて「免許を取った先のこと」を全く考えない、これはやばいです。あくまで免許は人生のアクセサリーであり、薬剤師とか関係なく自分はどう生きていきたいのか、学生時代から考えることは重要です。

 

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昔ならとりあえず卒業すればなんとなくやっていける世の中だったかもしれませんが、最近はコロナ禍も手伝い何が起こるか予想もつきません。そんな中勉強さえしてればどうにかなるだろという見通しは甘いです。

 

免許を取ったその先のことを何も考えていなかった

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私は「免許を取る」ことに必死になるあまり、その先のことを何も考えていませんでした。

「免許を取る」ことにとらわれすぎて、「免許を取った自分がどのような生き方をしたいか」なんて、全く考えていなかったんです。

薬剤師としてもそうですし、人間としてもそう。

自分の人生について何も考えていませんでした。

 

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免許を取ることしか考えていなかったので、自分の人生に関する具体的なビジョンを想像することがなかったのです。

 

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イメージしていた人生像としては、せいぜい「最初は病院に就職して、まあ2,3年働いて…あとは調剤薬局に転職かな…まあ免許さえ取れればいいや…」くらいにしか考えていませんでした。

6年もかけてようやく取得できる免許であるにも関わらず、自分がどのような未来を生きたいのかを一切想像していませんでした。

 

 

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私が危惧しているのは、私と同じように考えている薬学部の学生さんが多いのではないかということです。

人生のゴールを「薬剤師の免許を取ること」にしてしまい、そのあと何十年も続く社会人生活へのビジョンを想像しないまま、薬学部を卒業してしまう人が非常に多いのではないか、ということです。

 

 

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これは薬学部らしい悩みといえるでしょう。最初から薬剤師になることが決まっているからこそ、じゃあ薬剤師になったならなにをしたいの?というレベルまで想像が及ばなくなるのです。

 

薬剤師になることそのものに必死になるあまり、その先の人生に思いをはせることができなくなるのです。

 

 

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これは非常に危険なことだと思っています。

ただ薬剤師になることしか考えていない薬学生は、薬剤師になったあとのキャリアプランなどを考えません。

薬剤師として自分がどう活躍したいかを考えられない結果、仕事に飽き飽きし、すぐに転職を繰り返す人生を送ってしまいます。

 

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薬剤師になって、何をやりたいの?

薬剤師になりたいという学生さんは非常に多いです。

薬学部があいかわらず人気なのを見ると、この状況は異論がないところでしょう。

しかし、「薬剤師」って本当に人気の職業なのでしょうか?

 

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薬剤師が人気なのは「安定性」とか「堅実性」というイメージゆえであり、「薬剤師の仕事」そのものに憧れや夢を抱いて薬学部に入る人って、どれくらいいるのでしょうか?

 

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私の周囲にいる友人たちは薬学部に入った理由をほぼ100%「安定しているから」と言っていました。薬剤師という仕事そのものにあこがれて薬学部に入った、という人は、本当に少数です。

 

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かくいう私もそうです。薬剤師は安定しているから。そんな簡単な理由で薬学部に入りました。

薬学部に入ってからは、とにかく勉強、勉強、勉強。

自分の将来など考える暇もないくらい勉強漬けの日々。

 

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いつしか私は思考停止に陥りました。

「とにかく免許さえ取れればなんでもいい」

免許を取った先のことを何も考えていませんでした。

考えることから逃げていた、といってもいいかもしれません。

免許さえあれば生活は安定しますからね。

 

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薬剤師になったうえで自分が何をやりたいか、なんて想像する必要性も感じていませんでした。

私は先生から言われた「免許のために勉強するのではなく、未来のために勉強しなさい」という言葉をきっかけに、考え方が変わりました。

 

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うわっつらだけなぞる勉強ではなく、「薬剤師になった時にこの知識はどのように役立てられるか」をイメージしながら勉強するようになりました。

 

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それで成績が劇的に伸びたわけではありませんが…少なくとも勉強するうえでの姿勢は変化したかと思います。

 

 

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「臨床にこの知識をどう役立てたいか」ということを考えながら講義を聴くようになりましたからね。(その前は、とにかく「テストで落第しなければいい」という考えで聞いていたので、講義の内容をかたっぱしからノートにメモリまくるだけの日々でした)

 

 

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やはり「ただ薬剤師になりたい」だけ考えるのと「薬剤師になったらこういう道で専門性を極めよう」と考えるのでは、将来への取り組み方が全く変わります。

 

ちなみにわたしは、現在精神科門前の調剤薬局で働いているので、ベンゾジアゼピンなどのメンタル系の薬や、メンタルヘルスに詳しくなることを目標としています。

 

 

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自分自身も激務で何度も心身をぼろぼろにした経験があるので、患者さんに同じ思いはしてほしくない。

 

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薬はもちろんのこと、日頃の生活から、心も身体も健やかに暮らせるような取り組みを提案したいと思っています。

 

薬剤師になって何を実現したいの?

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現状、薬学部で「未来教育」をしている大学というのはまだまだ少ないのではないでしょうか。

もちろん学生の未来を決めるのは学生自身です。

大学に入ってまで自分の進路を大学に決めてもらう、というのは少々甘えた考えでしょう。

 

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自分がなりたいものがあるのならば自分で探して自分で決めて動き回ることが大事でしょう。

しかし、今の薬学部の教育では、まだまだ「こういう薬剤師の道もあるんだよ」と提示できる環境が整っているとはいえない状態なんじゃないでしょうか。

 

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たとえば病院薬剤師ならこんなキャリアプランがある、大学研究者ならこんな道がある、企業に行った薬剤師ならこう、公務員ならこう、調剤薬局ではこういう資格を取るのがいいとか、こういう書籍を読んで勉強するのが一般的とか…

 

 

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現状、薬学部の教員の中で、医療現場の経験を積んだ人というのが少ないというのも、この「未来教育」の乏しさに影響していると考えています。

 

 

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薬学部出身ではないとか、薬剤師ではないとか、そういうバックグラウンドを持った人が教鞭をとることは、「薬剤師の未来を提示できない」という欠点があります。

 

そういう教員の教える内容というのは、単なる教科書的な「生物学」とか「有機化学」だけに留まってしまうため、「その知識が臨床の薬剤師にとってどのように有用なのか」ということを学生に教育することができなくなります。

 

 

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そのため学生も「今習っている内容が薬剤師になってからどのような場面で役立つのか」をイメージすることができず、単なる知識の詰め込みに終始してしまいます。

 

この状態の繰り返しでは、「自分がどのような薬剤師」になりたいのかイメージする機会というのはどうしても少なくなってしまいます。

 

 

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アカデミックに偏る四年制薬学部ならともかく、一応名目上は「臨床で活躍する薬剤師の育成」を掲げる六年制薬学部で、「薬剤師の未来を提示できない」教育が続くのは考え物でしょう。

 

 

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この先、薬剤師を経験した教員が薬学部に増えることを祈ります。

できれば6年制薬学部を卒業した薬剤師ですね。

6年制薬学部卒として薬剤師を経験した教員が、「薬剤師の働き方」を学生たちに提示する講義や研修。

そういったものが今後さらに増えていかなければ、私のように思考停止した薬学生は増える一方でしょう。

 

 

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わたしのように免許を取ることだけに躍起になる薬学生は増えてほしくないです。

薬剤師はたしかに魅力的な資格ですが、他人の命を扱う専門性の高い仕事です。

 

あなたは薬剤師になったら、その専門性を何に活かしたいと思うでしょうか。どんな人の支えになりたいと思うでしょうか。

 

 

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少しだけイメージしてください。薬剤師として「何をしたい」ですか?

病院で出世したいですか?

 

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患者さんに信用される調剤薬局薬剤師になりたいですか?

 

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OTC医薬品にめっちゃ詳しいドラッグストア薬剤師になりたいですか?

 

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公務員として働きたいですか?

製薬会社で働きたいですか?

 

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職種はMRですか?研究開発ですか?

 

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あなたが特に興味のある分野は何ですか?

何に詳しい薬剤師になりたいですか?

そのためにどのような資格を取得することが望ましいと思いますか?

その資格を取得するために、どのような就職先を選ぶことがいいと思いますか?

 

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自分がイメージする薬剤師になるために、今からどんなことを勉強したほうがいいと思いますか?

一日のうち、少しだけでもいいので、このようなことを想像する時間を設けてください。

それだけで、薬剤師としての未来の幅は広がります。

 

 

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どうか、「薬剤師になったら何をやりたいか」を常に考えながら勉強してください。

免許取得がゴールではありません。

くれぐれも「薬剤師になりさえすればいいや」なんて安易に考えないでください。

人生は薬剤師になってからのほうがはるかに長いのです。

 

 

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これからも続く人生、自分がどのように薬剤師として活躍したいのか、常に頭の片隅に置いておいてください。

 

 

 

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