薬剤師のメソッド

進学、就職、国家試験、転職など薬剤師の人生についていろいろ

【病院薬剤師】転職しました。やりがいだけで続けられるほど仕事は甘くない【かっこいい?】

就職や転職を考えている薬学生、薬剤師のみなさん。

「病院薬剤師」についてどのようなイメージを抱いているでしょうか。

特に薬学生のみなさん。

初めての就職先に、「病院薬剤師」を選ぼうと考えてはいませんですか。

同級生も病院薬剤師になったから……先輩も病院薬剤師をしているから…大学の先生が病院薬剤師への就職をおすすめするから……

このような事情から、病院薬剤師への就職を目指そうとしてはいませんか。

そんな人たちに、伝えておきたいことがあります。

「かっこいい」イメージがあった病院薬剤師

わたしも学生時代、病院薬剤師に憧れた時期がありました。

なんとなく「病院薬剤師」という言葉の響きに憧れたんです。

なんというか、かっこいいじゃないですか。病院薬剤師。イメージ的に。レベル高そうじゃないですか。

 

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白衣をさらりと纏って、病棟内を闊歩するイメージ。

医師や看護師と協同し、チーム医療を実現する。

疾患に苦しむ患者さんの健康のために、最先端の医療を駆使して戦う。

なんだか「医療職」っぽいじゃないですか。

 

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医療ドラマでよく見る医療職って感じがするじゃないですか。

病院薬剤師として、がんを専門に業務しています……なんて言ったら、いかにも響き的にかっこいいじゃないですか。

 

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見栄を大切にする人なら、「病院薬剤師」ってすごくおいしい響きだと思います。医療ドラマのイメージをそのままうのみにすれば、病院薬剤師って、すごくかっこいい職業のように思えます。

 

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そう、イメージはかっこいいです。イメージは。

 

地味、薄給、陰湿、長時間労働

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しかし、実際は、ドラマのようにはいきません。

わたしもよく考えず、「病院薬剤師ってなんとなくかっこいい」というイメージだけで仕事を選び、MRから病院薬剤師に転職しました。

 

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最先端の医療を学び、医学論文をばんばん読み、患者さんからも医療職からも信頼される病院薬剤師になろう!と息巻いていました。

しかし、そんな決意もつかの間。職場環境の悪さにわたしはあっという間に病み、職場を退きました。

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患者さんのために働くはずが、自分が患者になる始末です。心も体もぼろぼろになってしまったわたしは「これ以上病院薬剤師として働くことはできない」と判断し、調剤薬局に転職しました。

よく保育士や介護士の扱いがおかしいとか、教師が部活で土日も削られて死にかけているとか言うじゃないですか。病院薬剤師もそういうものです。

さすがに介護ほどの激務薄給ではありませんが、「見合わない」仕事だと思うことは多々ありました。職場の人間関係が悪かったこと、これも大きかったです。マウンティングや派閥争い、ハブなど、中学校か?みたいな幼稚ないじめに翻弄されるのに疲れ果てました。

 

結果として、調剤薬局に転職してよかったです。自分の生活のリズムを保てるようになったからです。

 

 

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病院薬剤師に転職してしみじみと思ったのは「労働時間が長い」ということでした。

ただ長いというより、「労働」という感覚が現場にないことにわたしは戦慄しました。

医療職は自らの健康を犠牲にし、患者様のために尽くすべき。そのような価値観がごく普通に浸透しているんですよね。

 

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一般企業だったら即ブラック案件として処罰を受けるような待遇も、ごく当たり前のこととして存在していました。残業代?出ない日もありましたね。

 

 

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そしてお給料が安い。MRをしていたころは、拘束時間こそ長いものの、それに見合ったリターンを得ることができていました。食費や交通費は会社の制度を利用すれば相当節約することができましたし、住宅補助もありました。特に節約を意識して生きたことはなかったのですが、MRをしていたころは順調に貯金できました。入ってくるお金が大きかったのです。

 

 

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しかし病院薬剤師は、安いです。本当にこれは目玉が飛び出るほど安いです。

労働量が少なくてお給料が安いのは、わかる。だけど、労働量は明らかにほかの職種より多いのに、給料は群を抜いて安い。

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病院薬剤師になりたい、という方は、「給料の安さ」を覚悟のうえで目指したほうがよいでしょう。

わたしが知る病院薬剤師は、メーカー5年→某公立病院に転職して15年になりますが、いまだにメーカー時代の年収に追い付いていないそうです。

 

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メーカーが高給であることは間違いなく、病院薬剤師が薄給であることも同様です。

 

 

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お金があることが幸せとは限りません。しかし、お金がないことで悩みは増え、苦しまなくてはならないことも増えます。

やりがいだけで、「薄給」「労働時間が長い」という問題に耐え続けられるものでしょうか。わたしは相当タフな人じゃないと続かないと思います。

 

 

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そして人間関係。病院という職場は特殊ですから、人間関係も特殊です。わたしはパワハラやいじめのような問題に苦しみ、ストレスが限界に達したので、結局逃げてしまいました。

 

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良い人間関係の職場であれば、多少労働環境がつらくても続けていけるものですが、さすがにパワハラがあると大変でした。そういうときは逃げるが勝ちです。

 

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そういうことが積み重なると嫌でもモチベーションは落ちていくものです。心身の健康状態は悪化してくるし、どうしてここで仕事してんの?と自問自答してしまうし、なんだかもう…病院薬剤師とは…医療とは…と哲学的な疑問に陥ってきてからは、もう転職しようと決めました。

 

向いてないもんは向いてない、無理にやろうとしても続かない

最近とくに思うのですが、人間やっぱり向き不向きがあります。向き不向きより前向き、なんて言葉がありますが、人間いつも前向きでいられるわけでもありません。大切なのは、後ろ向きだろうとなんとなくできてしまう何かを見つけることじゃないか?と最近思います。無理して頑張り続けることは一見美徳のように思えますが、蓄積した疲労やストレスは、必ずあとであなたを苦しめます。苦痛がヒトを成長させる、なんていう都合のいい文句なんて鵜呑みにしない方がいい。

 

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 病院薬剤師は学生の身からしたら「かっこいい」かもしれません。薬剤師らしく働いてるかのように見えるかもしれません。しかしそれはあくまで学生の狭い視野から見えている一部でしかなくて、薬剤師はいつも白衣を着て病院を走ってる人ではないのです。製薬会社で車に乗ってる人かもしれないし研究室にいるかもしれない、大学のアカデミアにいるかもしれないし自治体で公務員として働いているかもしれない。薬剤師とまったく関係ない仕事をしているかもしてない。

生き方は千差万別です。この仕事が一番いいなんて断言はできません。ただ、自分に向いているか、続けられそうかは、ある程度絞り込むことはできます。

 

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病院薬剤師はハードです。ゆるい病院もあるかもしれませんが、私が知る病院薬剤師で続いている人はだいたいタフで神経が強いです。ほかの薬剤師が楽とは言いませんが、少なくとも「労働と対価が見合っているか」という点で考えると、病院薬剤師のコスパがいいとはとても思えません。「勉強できるからメリットが大きい」と考えるならそれもまたありです。私は仕事して給料をもらうのが当たり前と思うので、勉強しながら給料をいただけるという考え方には賛同しませんが。

とにかく、生き方はいくつも広がっていて、何かに固執する必要はありません。向いていないことを無理やりする意味もありません。続けたって疲れるだけです。どうせ仕事なんて全部しんどいんだから、どうせやるなら少しでも向いてることをやったほうがいい。そのほうが長続きします。

病院薬剤師に向いている人

 

  • 「やりがい」だけで生きていける人
  • ワタミの社長の考えに賛同できる人
  • お金のために働く、という考えは間違っていると思う人
  • 奉仕精神が非常に強い人
  • 仕事のためにプライベートがつぶされてもかまわないと思う人
  • 心が異常に頑丈な人
  • 体が異常に頑丈な人
  • 給料が安くても我慢できる人
  • 他職種とのチーム医療(なお、実際は医師のワンマン)に憧れる人
  • 「若いうちの苦労は買ってでもしろ」を信じる人
  • 調剤薬局薬剤師はダサいと思う人
  • 最先端の医療(病院によって差が激しい)を学びたい人
  • 病棟業務をしてみたい人
  • 白衣を着て病棟を歩きたい人
  • 「病院薬剤師」の響きに憧れる人
  • 勉強欲>>>>>>>お金の人
  • 将来薬剤師の世界で出世したい人

 

このような方は、病院薬剤師を選んでも数年は耐えられるのではないでしょうか。病院薬剤師になった人の多くは、3年以内に辞めます。上記の環境が嫌すぎて心身の限界に達したからです。病院薬剤師が「やりがい」だけでやっていけるほど甘くないということは、知っておいた方がいいでしょう。

 

 

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わたしは大学時代、ある先生に「病院薬剤師は、働くためにやるものじゃない。学ぶためにやるものだ」と言われたことがあります。それを聞いて「何を言っているんだ?」と疑問を抱きました。

そして自分が病院薬剤師になって、しみじみと、「ああ、病院薬剤師は、社畜を凌ぐヤバさだなあ」と思ったものです。

 

 

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きれいごと抜きで、病院薬剤師は楽じゃありませんし、お金も稼げません。

やりがいだけで続けていけるほど仕事は甘くないです。

 

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 やりがいだけで人間は生きていけません。ありがとうを食べることはできません。

自分がどうしてもチャレンジしたいなら話は別ですが……病院薬剤師を職業に選ぶ際には、自分の適性をよく考えて下さい。

 

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