薬剤師のメソッド

進学、就職、国家試験、転職など薬剤師の人生についていろいろ

電通新入社員過労死事件に思うこと:健康に勝る仕事はない

電通新入社員が過労自殺した件について、東京労働局が電通に立ち入り調査を始めました。

news.tv-asahi.co.jp

過労死した新入社員は、月100時間を超える残業をしていました。彼女のツイッター内容を見る限り、「午前4時に退社」「1日20時間会社にいる」など、月100時間ではおさまりきらない残業をしていたことも予測がつきます。

 

聞き取りを受けたほかの社員も、「ここ数か月は月100時間以上の残業が続いている」と証言しており、電通の常軌を逸した労働形態がうかがえます。

 

今回の調査で電通の異常な労働状況が明るみになり、長時間残業に苦しむ社員がいなくなることを願ってやみません。新入社員の彼女が命がけで伝えてくれたメッセージが、日本の労働を変えることを祈っています。

電通は人気企業

基本的に電通は人気企業です。一般企業への就職活動をしたことがある学生なら、就活中に一度は名前を聞いたことがあるでしょう。そして、広告代理店の世界で最大手である電通の華やかさ、報酬の高さに魅力を感じる人も多いでしょう。

 

2013年度の新卒就職人気ランキングでは、電通は総合人気1位を獲得しています。

2013年度卒 新卒就職人気企業ランキング 総合/業界別編|楽天みんなの就職活動日記

電通の平均年収は1271万円です。

電通 年収:1271万円-年収ラボ

日本のサラリーマンの平均年収が415万円であることを踏まえると約3倍。

サラリーマン平均年収の推移(平成26年)-年収ラボ

高給を望む学生にとっては、電通とは地位も名誉もお金も手に入る、まさに夢のような企業というわけです。

高学歴の学生がしのぎを削って就職試験を切り抜け、電通に集結します。

 

私も就職活動をしていたころ、電通に内定したという知人の話を聞きました。

広告業界を通じて社会を変えたい!と息巻く、典型的な意識の高い人でした。

意識も能力も高い人が集まる場所だったのでしょう。「自分には縁がないわぁ」と思った記憶があります。

 

激務のエリート競争

しかし入社したら終わりというわけではありません。過労死した社員のツイッターの内容が取り上げられていましたが、激務と人間関係のストレスに常にさらされていた労働状況が克明に記されています。今は非公開にされていますがね…

過労自殺の電通社員のアカウント、「電通の圧力」で非公開に? 「ありえない」とTwitter - ITmedia ニュース

 

「女子力がない」「髪がぼさぼさ」「目が充血したまま出勤するな」と、セクハラまがいの言動も横行していたようです。最近話題になったインテグレートCMをほうふつとさせますが、「働く女性」に「美しさ」まで常に求めるというこの姿勢、いかがなものでしょうか。すでに極限状態まで追い詰められている部下に対して「女子力がない恰好はだらしない」と責めるのは、ハラスメント以外の何と言えましょうか。

method-of-pharmacist.hatenablog.com

高学歴でタフで能力も高い社員が集結する電通。その世界では、少しの息抜きも命取りになっていたのではないでしょうか。彼女のツイッターを見ると、「一瞬たりとも気を抜けない」と、痛々しいまでに緊張した様子が伝わってきます。

 

東京大学を卒業してもなお、エリートたちの戦いの中で、ぼろぼろになるまで働き続け、行き着く先は自らの手で死を選ぶことだった。

 

彼女の件を知るにつれ、幸せに生きることとは、働くこととはなんなのか、考えさせられます。

 

電通は過去にも過労自殺があった

この電通ですが、実は四半世紀前にも同様の事件がありました。メンタルヘルスマネジメントに詳しい方ならきっとご存知でしょう、その名もずばり「電通事件」です。

kokoro.mhlw.go.jp

奇しくも今回の事件被害者と同じ、24歳の社員です。

 

月100時間を超える残業、深夜(というよりもはや未明)、徹夜の連続…

誰がどう考えても、健康に生きていける労働環境ではありません。健康に暮らせる人はもはや人ではありません。モンスターです。

 

電通の上にのぼりつめる人というのは、こういう長時間労働を切り抜けたモンスターたちなのでしょうか…

 

なんにせよ、25年前と同じあやまちをまたしても起こしてしまった電通には、企業として社員の生命を、健康を尊ぶ精神が欠如していると思わざるを得ません。

日本の広告業界のトップと言われる電通が一度ならず二度までも職員の過労自殺を起こしてしまった。

日本の闇を感じさせます。ブラック企業、滅びるべしです。

 

健康に勝る仕事はない

 

f:id:method-of-pharmacist:20161015120359j:plain

 

大きな病気にかかった経験がないと、ついつい「自分は無茶ができる」と思い込んでしまいます。しかし、実際には違います。

無理をした分は必ず自分にはねかえってきますし、心や体に受けたダメージを回復させるのには時間がかかります。

 

私もブラックな環境で勤務したことがありますが、この時期は非常に精神的・肉体的にも危うい状態にありました。

method-of-pharmacist.hatenablog.com

やはり当たり前のことですが、食べる・眠るが普通にできないというのは非常に苦しいのです。生きている喜びを一切感じられず、ただ仕事をしているだけの生活。生きるために仕事をしているのか、仕事をするために働いているのかわからない日々。これでどうして生き生きと生活ができるでしょうか。

 

仕事は収入を得る手段です。よほどのワーカホリックを別として、仕事と人生は切り離して考えるべきだと私は思っています。

 

体を壊して働いて成果をあげて、それで得られたお金や地位でも、健康を買うことはできないのです。

 

精神科門前の薬局には、大企業に勤めているサラリーマンの方がたくさん来局されます。抗うつ薬を飲みながら激務に耐える方もたくさんいらっしゃいます。

 

本心を言うならば、死ぬほどの仕事など辞めたらいい。すぐに辞められないなら休めばいい。そして治療に専念してほしい。

 

失った健康は、どれだけ仕事をがんばっても絶対に回復することはありません。

月並みな言葉ですが、健康よりも大切なものなどないのです。

 

報酬や地位を目的として、激務に身を突っ込もうとしている方は、いまいちど自分の人生をよく考えてみて下さい。

それはあなたの健康を犠牲としてまでも、挑戦したい仕事なのでしょうか。

あなたの家族や友人を悲しませるようなことになっても、やりたいことなのでしょうか。

 

仕事に一所懸命になること自体はとても良いことです。

しかし、その先に心身の不調が待っているようでは元も子もありません。

健康が何より大切です。お金より、地位より、大事にすべきものです。

 

今回の件で、日本のブラックな労働体質が改善されることを願ってやみません。