薬剤師のメソッド

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「仕事こそ生きがい」「仕事で自己実現」その考えが危険だと思う理由

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われわれ社会人は、収入を得るために仕事をします。

よほどのすねかじりか石油王かでもない限り、働かずに生きていくことはできません。

大多数の人は仕事をして、労働の対価として報酬を得て、その報酬で生活を成り立たせています。

しかし、その「仕事」に対して、必要以上に入れ込んでいる人を見ると、わたしは違和感を覚えざるを得ません。

仕事など、収入を得るための手段にすぎないと思うのに。

まるで「仕事だけが自分の生きがい」「仕事を通じて自分の人生を正当化する」といわんばかりに仕事に打ち込んでいる人を、見かけることがあります。

仕事に打ち込むことはいいことですが、限度を間違えると大変なことになります。

仕事での失敗体験が、そのままメンタルの問題に発展する

わたしはメンタル系のクリニックの門前薬局で働いていますが、うつ病・パニック障害の方が多く訪れます。患者さんは学生や高齢者もいますが、大多数は労働者です。サラリーマンや自営業、公務員…あたりが大多数です。

 

うつ病と診断されて治療を始めている方の大多数が、非常に「仕事熱心」ということです。まるで、自分がいなくては会社が回らないんだ、と言わんばかりに、身を粉にして働いています。休職診断書を医師から渡されても、患者さん自身はためらいを感じていることが多いです。

 

仕事に対してまっすぐすぎる、逆に言えば「仕事以外のことに目を向けていない」人と言うのは、非常にうつ病などのメンタルヘルスに問題を抱える危険性が高くなります。仕事以外で、自分の心身を安定させる手段を持っていないからです。

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仕事に打ち込みすぎてプライベートがおざなりになっている方は概して抑うつ状態になりやすいです。睡眠時間も非常に短く、食事も炭水化物だらけのファストフード、趣味に手をつける体力も気力もない……

 

仕事に打ち込みすぎると、私生活に割く時間がなくなります。自然、私生活は荒れていきます。生活が荒れると、仕事のパフォーマンスにも影響が出てきます。仕事でもミスが起こりやすくなります。上司からの叱責を受けたり、取引先に多大な迷惑をかけてしまうこともあるでしょう。

 

そのような「仕事での失敗体験」を受けると、「仕事一筋」人間はどうなるでしょう。まるで自分の存在意義を否定されたかのような心境になるのではないでしょうか。

 

「仕事以外にも、家庭や趣味があるし。自分の居場所は会社だけじゃない」と割り切ってへらへらと生きている人と言うのは、メンタル的に強いです。会社・仕事への依存度が低いからです。依存度が低い場所で失敗体験を起こしても、メンタルのダメージは比較的小さく済みます。「どうでもいい」ことだからです。

 

しかし、「生きがい=仕事」「仕事のことしか寝ても醒めても考えていない」そんな人が、唯一の居場所である仕事で、大きなミスを起こしてしまったらどうなるでしょうか。自分の存在意義を完全に否定されたかのように思い込み、心身に異常をきたし、うつ病などを発症させてしまう。そんな道筋は容易に想像されます。

 

仕事以外の逃げ道を、常に複数用意しておこう

うつ病になる方と言うのは概してまじめで、自己犠牲的で、「自分の生活をふいにしてでも仕事に打ち込む」「会社への忠誠心が高い」人が多いです。こんなもんでいーや、と中途半端に投げ出すことができません。いい加減が大嫌いなのです。自分の中での設定ハードルの高さがとても高い。

 

目標意識が強いことは非常にいいことなのですが「仕事」のみにフォーカスすることは危険です。仕事での失敗体験が、致命的な心的ダメージになる危険性があるからです。

ですので、特に社会人は、「継続できる趣味」「仕事以外の逃げ道」を積極的に持つようにしておきましょう。

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要は、「自分を肯定できる場所」を、「仕事以外」に複数用意しておこう、ということです。仕事のミス=自分と言う人間の存在意義の喪失、という考えに直結しないようにしておこう、ということです。

 

マズローの欲求5段階というものがあります。ここでいう「自己実現欲求」を「仕事」のみで満たすのは危険です。

マズローの欲求5段階説 |モチベーション向上の法則

 

趣味、家庭、交友関係、習い事、恋愛、副業……まあなんでもいいのですが、仕事以外での手段でも自己実現欲求を満足させるようにしておかないと、危険です。仕事は時に裏切ります。自分の思うように成果を出せなかったり、思わぬトラブルに見舞われたりします。

 

「なりたい自分」に、仕事を通じてなることは難しいです。勉強と違って、がんばればがんばるほど報われるわけではないのです。

 

人間は仕事のために生きているわけじゃありません。生きるために仕事をするのです。仕事で自己実現だの、生きがいを得るだの、そんな風変わりなことを言っているのは先進国では日本くらいです。

 

仕事熱心過ぎて心身ともにお疲れ気味の方は、ほんの少し、自分の生活について振り返ってみて下さい。仕事以外に生きがいが無くなっている状態なら、それ、危険ですよ。