12月。
まさにOSCEシーズンですね。
全国の薬学部生はOSCEの準備にいそしんでいるころだと思います。
私も4年次にOSCEを経験しました。
私はむちゃくちゃ緊張しやすい体質なので、OSCEでも当然緊張しました。
失神するんじゃないかってくらい緊張しました。
そんなわたしでも、どうにかOSCEは一発でクリアし、実務実習に駒を進めることができました。
「何もできない」だけはやめよう
OSCEは5分間の制限時間があります。
OSCEの緊張の原因の9割は、この制限時間のせいだと思います。
5分ですべてのチェック項目を網羅する、って、ものすごく緊張するのです。
試験開始前に課題を見る時間が1分だけ設けられますが、その間に、必要な調剤を頭の中に思い浮かべ、試験開始と同時にパッパと動けるようにしなければなりません。
実践したことがある方ならおわかりいただけると思いますが、想像以上の緊張です。そして、1分で課題を理解するのは簡単ではありません。5分で実技を終えることなんて、初めてではほぼ無理です。
ただ、本番でぜひとも避けていただきたいのは、「緊張して頭がまっしろになってしまい、何もできなかった」という事態です。
OSCEは各項目を実行できているかをチェックし、70パーセント以上達成していれば合格、という試験です。
つまり、「何もしない」=「加点しようがない」のです。
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OSCEは「チェック項目を網羅できているか」を基準として採点しますので、その行動の順番については減点対象にはなりません。
たとえば初回面談で質問する事項の順番が多少ちぐはぐでもいいです。服薬指導での説明がちょっとおかしな順番でも構いません。わたしも思い出したように「おつらいですね!!!!」と言ったことがあります。(やばい、まだ共感的態度を示していない!)と服薬指導の途中で気づいたからです。
どう考えても不自然なタイミングで「おつらいですね」と言ってしまいましたが、結果、減点にはなりませんでした。「共感的態度を示すことを実行できている」かどうかを見られているので、そこの順番はそこまで重要視されなかったんですね。
当たり前なんですけど、「はあそうですか」で済ます人より「おつらいですね」と言えた人の方がポイント高くなります。患者さんの話が上の空の薬剤師に、大切な薬の説明なんてされても…ですからね。
ですので一番避けなければならないのは「頭の中でいろいろ順番を考えたものの、その順番通りにできなくなり、フリーズして手が止まってしまう」という事態です。何もできずに終わってしまうというのが一番よくない。
順番めちゃくちゃでも「これをしなければならないことはわかっていますよ」とアピールするのがOSCE突破のポイントです。あくまでパフォーマンスの試験なので、実際に患者さんを相手にしているわけではないので、順番めちゃくちゃでもいいんです。
一番アウトなのは、順番にこだわりすぎて、「次なにするんだっけ」でフリーズして完全終了してしまうことです。何もしなければ、何も評価しようがない、結局不合格ってわけです。
ハッキリ言ってたいしたことない試験なんですよ。ルール通りにこなせたら終わり。逆に言えば、ルールからそむいたら不合格になる。じゃあどうする?ルールを体に叩き込むのです。どうするかというと、練習する。自分で大丈夫って判断できるレベルまでちゃんと練習する。それに尽きます。
油断して落ちた人だっていないとは言い切れません。練習と対策はやっておくに越したことはありません。自分だけは大丈夫なんて思わないことです。
順番が多少めちゃくちゃでも構いません。思いだしたことはどんどん実行してください。そうしなければ、試験官もあなたを採点しようがないのです。
むちゃくちゃでもやりとおして下さい。
わたしは調剤が最後まで終わらない時、とりあえず掃除機で机をきれいにすることは忘れないようにしました。(「掃除をする」もチェック項目に入っているからです)まだ調剤が終わっていないにもかかわらず、です。
順番よりも、いくつチェック項目を網羅できたか。そこを注意深く見られているので、フリーズする時間をできるだけ減らし、手と頭をフル回転させてください。
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練習あるのみ
とはいえ、やはりOSCEは緊張します。あの独自の雰囲気、本当に胃が痛くなるんですよね……やけに静かですし、自分の周りには常に数人の怖そうな薬剤師が見張っていますし…
そんな状況でも普段の自分通りにやるためには、やはり「練習」あるのみだと思います。月並みですが、練習の積み重ねが、いつも通りの実力を出す一番の方法です。
大学で練習させてもらえる機会があるなら、可能な限り参加しましょう。
本番でもできる限り普段の自分の実力が出せるように、頭と手の動きを自分に思い込ませましょう。
意外となめていると痛い目に遭うんですよ…知人は散剤の調製でパニックになり、投与量の計算ができなくなり、ペンを持ったまま処方箋をぼーっと見つめて試験を終えてしまいました。
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大学で練習をあまりさせてもらえない場合は、家で練習しましょう。
軟膏の練習は「まな板」と「バターナイフ」、「ワセリン」を使うといいでしょう。軟膏を詰める容器は大学から貸してもらいましょう。
薬包紙の折り方も、ちゃんと覚えていないと、わけがわからなくなります。わたしは折り紙と食塩を使って調剤の練習をしました。何も詰めていない状態と、薬を入れた状態では、折りやすさが全然違います。たくさん練習しましょう。千羽鶴を作る勢いで折りましょう。このときにアホみたいに折っていれば、何年経ってもすいすい折れるようになり、生活の意外なところで役立ちますよ。
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液剤は「砂糖水」や「はちみつ」と「計量カップ」を使えば家庭で練習できます。ちゃんとビンを指さして薬品名を叫ぶのを忘れないように。あと、ボトルにマーカーでメモリを引くときは焦らず、正確に。
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服薬指導ではとりあえず「おつらいですね」は忘れずに。共感的態度を示すことが重要です。
実際に「おつらいですね」と言っている薬剤師をわたしはいまだ見たことはありませんし、わたしも患者として薬局に行った際に「おつらいですね」と言われたためしがありませんが、とりあえず「おつらいですね」と言っておくことが大事なようです。
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最大の難関は無菌調製。ここで出血したら即アウトです。ガラスアンプルを割るのにどうしても自信がない方は、裏技として、利き手の人差し指にばんそうこうを巻いておきましょう。万が一ガラスが刺さることがあっても、ばんそうこうが出血を抑えてくれる…かも…知れない…。
バイアルやシリンジの扱いは、とにかく持ち帰って練習してください。一発ですべての課題を突破できる人はいません。「自分は大丈夫だから」と油断してかかっていると、本番、突然の緊張で頭がパニックになってしまうものです。
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OSCEの合格を左右するのは、器用か不器用かではなく、どれだけ自分の体にルーチン動作をしみこませているかの違いです。
本番の自分を支えてくれるのは、普段の練習です。地道に家で、大学で、練習しましょう。
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OSCEなんて茶番
本当にくだらないです。医学部のマネをして取り入れたんでしょうけど、本当におそまつなものです。バカみたいにみんな薬の名前叫んで、バカみたいにおつらいですねとか言って、実践ではやりもしないことを堂々とやらせるんですから、茶番もいいところです。
しかしその茶番ですらもやれないようでは、薬剤師にはなれないということです。しょうもない儀式に見えますが、それすらクリアできないようでは現場に出ることはできない。実物の薬を使った調剤や服薬指導はすることができないということです。たとえOSCEがおままごとのようにくだらないものだったとしても。
OSCEがどれだけくだらなく見えても練習をさぼるのはやめたほうがいいです。本番で意外に緊張して思ったようにできなくてタイムオーバー、とかになったらつらいですから。
やりこみすぎて後悔することはありません。どうせCBTなんてちゃんと授業受けてたら絶対受かる内容なんですから、OSCEに時間を使ったほうが有意義です。アンプルとか失敗したら一発退場ですから注意してくださいね。
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OSCEをクリアしたら暗黒の実務実習が待っているわけですが…いい実習先にあたることを祈りましょう。それくらいしか言うことができません。ブラック実習先にあたった方はご愁傷様です。今からボイスレコーダーの準備をしておきましょう。
OSCEができたから実習がうまくいくわけではありません。私は実習ボロボロでしたから…しかし、OSCE程度もできないようでは実習にはとても行けないのです(もちろんCBTクリアは大前提)
長い戦いになりますが、薬学部生活の後半、気合いと根性で乗り切っていきましょう。やるしかない。
たいしたことない試験
多少緊張するかもしれませんが、進級のための通過儀礼と思えば少しは安心するかもしれません。この試験の意味なんてないというか、誰にもわかりません。あってもなくてもいいような試験ですが、だからこそこれくらいは乗り越えないといけません。CBTは勉強してさえいれば大丈夫ですが、OSCEは不器用な人はきついです。ちゃんと練習してください。
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薬学部が6年制になったところで薬剤師が医師とイーブンになるわけもないし、意識が高い薬剤師がハッスルしたとしてもすぐに変わるもんじゃありません。薬剤師の未来がすごく明るいとは言いづらいものですが、声をあげたところで6年越えて国家試験をこなさいと免許は得られません。薬学部は学畜養成所ですので。
「おつらいですね」は忘れないようにしましょう。