薬剤師のメソッド

進学、就職、国家試験、転職など薬剤師の人生についていろいろ

薬剤師は勝ち組なのか?6年制薬学部を卒業して思うこと。借金してまで行くかは…

不安定な世の中、何が起きるかわかりません。2019年まではまさか新型コロナウイルスが流行するなんて想像する人はいなかったでしょうし、それを機に仕事や家庭を失う人も少なくなかったはずです。

そんな中、薬剤師は比較的安定した職業。薬剤師の求人が無い、なんて事態はまずありませんし、ワガママを言えばきりがありませんが、仕事にありつけないなんてことは避けられるはずです。

じゃあ、薬剤師は世間で言うところの勝ち組なのか?ここについて触れていきます。

 

6年制薬剤師として思うには…

薬学部の6年間、長かったです。何回も自分の選択を疑いました。他の学部で4年で卒業すればここまで苦しまなくてよかったんじゃないか?わざわざ薬学部を選ばなくてもよかったんじゃないか?マジで毎日後悔していました。

そして四年制薬剤師が羨ましいと思っていましたね。だって同じ資格なのに私たちは1.5倍の時間がかかるんですよ。6年制という無理くり引き伸ばしたカリキュラムのために、実務実習を半年近くやりながら…

個人的には、四年制薬剤師はコスパ最強の勝ち組と思いますね。私は6年制初期だったこともあり、マジでやる意味ある?なカリキュラムの中で生活していました。今は有意義な講義や実習を取り入れてるでしょうが、当時は本当に「頑張って引き伸ばしました…」感は否めなかったです。

本当にコスパ悪かったですね。

 

稼ぐなら一般のサラリーマンでも別に…

金銭面で言うなら、薬剤師は一般のサラリーマンよりちょい高給かな、程度ですかね。もっと稼ぎたければ経営者になるか、さらに手っ取り早くいくには製薬会社のMRとかがいいと思います。

6年制になったからといって医者と肩を並べるかといえば別にそんなことはなく、当たり前ですけど勉強しなければ頭は錆び付いていきますし、そういう人が無条件でガポガポ稼げるかと言うとありえないわけです。

医師が稼げるのは常人にはかなわない研鑽を日々積み重ねているからで、それは「勝ち組」と呼ぶにはあまりに安易な話です。

もちろん薬剤師も努力している人がほとんどですけどね。しかし医師ほど稼げるかというと、そんなことはありません。1000万以上稼ぐのが勝ち組と定義するなら、結構難しいんじゃないですかね。特に病院薬剤師ならなお…

 

求人に困らない

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とはいえ、めちゃくちゃ稼ぐのは難しいとはいえ、薬剤師でありながら無職に甘んじるしかできない人はほとんどいないはずです。薬剤師でありさえすれば病院、調剤薬局、ドラッグストア、製薬会社、CRO、医薬品卸、化学メーカー、公務員、などあらゆる分野で働くことができるので、どれだけポンコツ薬剤師であろうと門前払い…はなかなか無いかと思います。田舎で一切職場がないとかなら別ですが。

私は製薬、病院、薬局を経験しましたが、いずれも就活に困ったわけではありませんでした。製薬での就活もやはり薬剤師だから有利に働いたのでは?って場面も多かったです。履歴書に薬剤師って書くだけでパワーが非常に大きいんですよね。「背景はよく知らんけどこの人なら大丈夫だろ」と思わせる力は非常に強いと思います。『薬剤師です』と名乗っておけば社会的信用もありますしね。免許はいろんな場面で身を助けると実感します。

とはいいつつ、この先はAmazon薬局の出現などにより、薬剤師の安泰な就職も危ぶまれていくかもしれません。免許を取ったからといって甘んじずに日々研鑽していくことは重要です。

 

ブランクの影響を受けにくい

一般サラリーマンだと無職の期間が長かったり転職回数が多いとネガティブな印象を持たれがちです。しかし薬剤師はそこまで厳しい環境にはなりません。育児や介護でしばらく仕事を離れてたとしても、とりあえず応募しとけばどこかに縁があります。めちゃくちゃレベルの高い職場を希望するなら別ですが、ワークライフバランスを保てるくらいのゆるめの職場ならまず大丈夫でしょう。要は選り好みしなければ何とかなるのです。

免許があるゆえか、薬剤師って他の職業より転職回数が多い印象があります。私の同僚も20代なのに5回転職してるという人がいました。案の定すぐに転職し、次は製薬会社の管理薬剤師になりましたが…薬剤師に関しては、ジョブホッパーでもそこまで悪い評価を受けないで済むのかもしれません。とはいえ、数ヶ月で辞めるを繰り返すのは経歴も傷つくし職場に迷惑もかけますが。

 

「なんとかなるだろう」感

薬剤師が勝ち組と言われる理由を探すとするならば、これに尽きるのではと思います。不安定な世の中であろうと、路頭に迷うのはよほどのことがない限りありません。免許を持っているというだけで、法律上薬剤師を雇わないといけない会社と縁があったりしますし、とにかく転職に関してはイージーモードです。ワガママばかり言わなければどうにかなりますし、女性1人でも自分を養って暮らしていくには十分稼げます。

薬剤師は女性がやるには丁度いい免許かもしれません。結婚や育児で仕事を離れたとしても復活しやすいですし。臨床薬剤師をやりたくない人でも製薬やCRO、公務員で活躍してることも非常に多いです。生き方のバリエーションが非常に広いのが、薬剤師であるメリットといえるでしょう。よほど贅沢をしなければ1人でも普通に暮らしていけるので、結婚の予定がない人にもおすすめです。

 

とはいえ、学生生活はしんどすぎる

卒業後の人生がわりとイージーになる代わりに、学生生活は苦しみ抜きます。医学部よりは遥かにマシなんですけどそれでもしんどい。卒業できるのか非常に大きな不安を抱えて6年以上過ごすわけですから…メンタルコントロールが非常に難しい。大学とは人生のモラトリアムといいますが、とんでもない。薬学部は苦しい場所です。勉強が苦手な人は間違っても行ってはいけない。

18〜24歳の若く楽しい時期を勉強漬けにしたくないのであれば、薬剤師は勝ち組どころか負け組でしょう。青春って言葉を忘れる必要があります。そこを深く考えず、とりあえず薬剤師って手に職だし色々便利そうと思って入学すると地獄を見るわけです。

たしかに薬剤師は卒業後いろいろ助かる場面もありますし、私も薬剤師になってよかったと実際思っています。しかし、その引き換えにたくさんのものを犠牲にしたのも確かです。未だに大学生活、もっと学生らしく楽しめたら良かった…と思ったりもします。

薬剤師で得られるベネフィットは確かにありますが、その陰には必ず何かがあります。薬剤師を勝ち組とは安易に言えません。リスキーな選択の果てに得られる免許ということは、忘れてはならないでしょう。