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薬剤師のメソッド

進学、就職、国家試験、転職など薬剤師の人生についていろいろ

シックハラスメントという言葉はもっと流行ってもいいと思う

仕事

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ハラスメントっていろいろありますよね。

セクシャルハラスメント、モラルハラスメント、アルコールハラスメント、アカデミックハラスメント、パワーハラスメント、マタニティハラスメント…

最近ではスメルハラスメント(においのハラスメント)、終われハラスメント(就活早く終えろと企業が責めるハラスメント)もあるようです。

約30年前からセクハラという言葉はありましたが、そのほかのハラスメントは21世紀に入ってから急速に認知されるようになったきらいがあります。

世はまさにハラスメント時代ですね。

最近思うのですが、「シックハラスメント」というものも今後認知されてくるんじゃないかって予想しています。

シックハラスメント

シックハラスメント。

グーグルで検索してもほとんど出てきません。

まだまだ世間には認知されていません。

というか個人的に「こういう言葉があってもいいんじゃないか」って思っているだけなので、流行っているわけでもなんでもありません。

シックハラスメントとは何か?

要は「病気、あるいはその患者に対するハラスメント」のことです。

具体的には

  • 病気への偏見
  • 患者への偏見
  • 医薬品への偏見
  • 使用している医薬品への過剰な詮索
  • 患者の治療生活に対する過剰な詮索
  • 治療への無理解、拒否反応、妨害行為

などが該当すると考えられます。

シックハラスメントは特に、企業での社員管理上で発生すると問題になりがちです。

具体的には「それくらいの病気なら働けよ」「会社を休むな」「仕事を休むな」……といった上司からの圧力により、治療が妨げられ、病気の回復が遅れるといった事態が想定できます。

シックハラスメントは多くの場合パワーハラスメントやモラルハラスメントと絡み合いながら発生します。

あなたの職場にもいませんか?

「風邪?俺の若いころは40度の熱でも出勤していたぞ。風邪なんて仕事してたら忘れていつの間にか治るんだよ。最近の連中は本当に心も体も軟弱なんだな。は?休む?勘弁してくれよ」とか言うクソ上司。

上記のような例は多かれ少なかれ大多数の企業で発生しているのではないでしょうか。

 

日本はシックに対して寛容な社会だろうか

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たとえば、国民皆保険制度。

これはすばらしい制度です。

貧富の差にかかわらず、国民が日本の上質な医療を受けることができる。

これは間違いなく日本が誇るべき社会保障制度です。

米国のように「お金持ちほどいい治療を受けられる、いい保険制度に入れる」…そんな社会になってしまっては、日本がここまで健康面で安定した国に成長することもなかったでしょう。

しかし、「病気」そのものに対する理解はいかがでしょうか。

個人的には、「簡単に病院に行ける国」だからこそ、病気そのものを甘く考える人が日本には少なくないのではないかと思っています。特に生産年齢人口には。

「仕事が忙しくて病院にかかれない」

「少しの不調くらいで仕事を休むのは甘えている」

……患者さんたちからはそのような声を聞くことが非常に多いです。

高齢者にもなると病院通いが生活の一部になるのですが、若年~中年層では、まだまだ「病気も病院も縁遠いもの」と思っている人たちが多いのは現実です。

そう思うのは結構ですが、他人にその思想を押し付けるのは危険です。

特に管理職は危険です。ハラスメントにつながりかねません。

自己管理とは、「休むべき時に休む」ことも含めて自己管理です。

「いついかなるときも全力で働く」ことが自己管理ではありません。

不調を感じたなら早めに休んで、ゆっくり体力を回復させることも、立派な仕事なのです。

休みを放棄した結果、取り返しのつかない予後を辿った人を私は何人も知っています。

自分の不調は自分にしかわかりません。

不調を悟ったなら、すみやかに休む体勢に入りましょう。

そして職場もそれをサポートできる環境にしましょう。それが管理職の使命です。

どうも「自己管理」の意味をはき違えて、「休むべき時に休むことを甘え」「病気になるやつは心が弱い」とか根性論で捉えている人がいまだに多い気がします。

自己管理してたって病気になるときはなります。

なったものは仕方ないので、早く休みましょう。

もちろん、病気になる前に休むのが最善です。

気になる症状がある場合は病院にかかりましょう。

気になった症状を放置してずるずる働き続けることは更なる症状の悪化につながります。

この「社会保障はしっかりしているのに、シック(病気)に関しては自己責任論でまとめられ、寛容な態度とは言い切れない」現代の日本がもっとよくなるためには、シックハラスメントの存在が認知されることが重要と考える次第です。

 

治療内容への介入がハラスメントになる場合もある

さらに言うのであれば、治療行為への第三者の介入が、患者さんにとってハラスメントにつながる場合もあります。

たとえば「病名を詳しく知りたがる」「使用している医薬品を知ろうとする」行為もそれです。

それが治療行為や行政対応上必要である、という場合を除き、単なる興味で個人の病気のことを知ろうとするのは非常に失礼です。

病気や医薬品については非常にプライバシーに関わる情報です。

簡単に「どんな薬飲んでいるの?」「どんな治療をしているの?」と聞いてしまうことは、患者本人に大きなストレスを与えてしまう場合があります。

わかりやすい例でいえば、メンタルヘルス系の疾患でしょう。

「うつの治療をしている」「抗うつ薬を飲んでいる」……こういった情報を、患者が自分自身でオープンにしているのならともかく、他人がわざわざ掘り起こすことは非常に無神経な行為です。

患者さんが自分の治療履歴について「他人に知られても構わない」というスタンスなら別ですが、「知られたくない、秘匿したい」という患者さんの感情は尊重されるべきです。

そして、このハラスメントは医療従事者にも適用されると考えています。

たとえば調剤薬局で患者さんへの薬の説明を大声でする薬剤師。

ほかの人に聞かれたくないことを大きな声で慎みを知らずにしゃべりまくる薬剤師。

たしかに大きな声を出さないと伝わらない患者さんもいます。

高齢者の患者さんには小さな声では伝わりませんからね。

しかし、そこまでする必要もない患者さんに対して、プライベートな情報を狭い空間で大声で話すことは、患者さんにとって非常に恥ずかしいことであり、シックハラスメントにつながる可能性があります。

病気や医薬品の情報は患者さんのプライバシーに密接にかかわります。

取り扱いには厳重に気を付けないと、ハラスメントの発生に関係します。

病気への正しい向かい合い方を、われわれ医療従事者も学ばなければなりません。