薬剤師のメソッド

進学、就職、国家試験、転職など薬剤師の人生についていろいろ

薬学部に入学し、同級生が頭良すぎて後悔して中退を考えた話

薬学部に進学したからにはしっかり勉強して6年間で知識やスキルを身につけ、国家試験を突破して薬剤師になりたいものです。6年はとても長い戦いなので、自分1人ではモチベーション継続に限界があります。そこで助けになるのは友人や先輩後輩、先生などになるのですが、私は頭がヘボすぎて助けになる以前に「助けが来ても受け止められない」状態になりました。

そんな苦い話があったのでここに書いておきます。

 

自分以外全員優秀じゃね?

f:id:method-of-pharmacist:20210328160232j:image

まず入学して思ったのは頭良い人ばっかじゃない?というか自分1番アホじゃね?え、こんな中でわたし6年もやっていけるの?ヤバくない?ということでした。

高校まではなんとなく良い成績でしたし、自分はわりと頭の良い部類なのでは?と勘違いしていました。井の中の蛙というやつです。それが大学に入り、薬学部に入ったことで、一気に周囲の頭脳レベルが上がり、「自分しょぼくね?」と痛感したのでした。

 

とくにショックだったのは自分が必死こいても理解できないことを周りの人達はごく普通に飲み込んでいたことです。講義で先生が言ってることがサッパリ理解できないのに周りはそうではなさそう、これにはかなり焦りました。とくに苦手な科目…有機化学や物理化学なんて何回聞いても「???」だったので、友達に質問しようにもそもそもなにがわからないのかがわからない状態でした。

 

method-of-pharmacist.hatenablog.com

 

 

ものすごく自信喪失

そんな日々が続くとわかりやすく自信が消えていきました。何をやっても言っても「どうせ自分バカだからな…」と引っ込む自分がいて、周りの優秀さを目にする度に「なんでこの人たちと同じ学部にいるんだろう…」と落ち込みました。そんなときにテストで悪い成績だったり実習でミスしたりすると本当に凹みます。本気で転部を考えました。こんなに能力低い人間がなんで薬学部にいるんだろう、卒業なんてできないんじゃないか、もっと自分が楽にやれる学部に行くべきだったんじゃないか?と何度も後悔しました。

結局、転部する勇気もなかったので死ぬ気で勉強して食らいつく道を選びました。結果的に卒業できたからよかったものの、もう一度同じことをやれと言われたら絶対無理です。本当につらかったし、果たして人生に必要な苦労だったのか?と言われるとわからない。私は理数系がそもそも苦手だったので、この進路選択じたいがムリがあったのかもしれません。

 

method-of-pharmacist.hatenablog.com

ただ、卒業するまで自分はアホだという自覚はありましたし、今も変わりません。本当に頭がいい人にはかなわないって痛感しました。向いていないことに必死に食らいつくのって辛いんですよね。

不得意なことを頑張って続ける辛さ

よく思うのが「苦手なことを死ぬ気でやるコスパの悪さ」です。私は得意なことや好きなことに時間を費やすのはとても有意義と思いますが、苦手なことや嫌いなことへはどうなんだろ…とすごく疑問なんです。人生の時間は限られているわけですから。

向いてないことを続けるのはしんどいです。どんどん自信をなくしていきますし、自分が必要以上に無力な人間と思い込んでしまいますし、長引くと病みます。私は研究室で散々実験をミスり、データを出せず、そのたびに「理系なんて選ぶんじゃなかった」と後悔していました。先輩にはバカだのアホだの詰られるし、セミナーでは言うことないし、周りは優秀だし、ほんとしんどかった。辞めたくて仕方なかった。

 

method-of-pharmacist.hatenablog.com

 

薬学部に入って「この学問は自分に向いている」と思った瞬間は一度もありません。常に苦しいし、人より飲み込みが遅いし、みじめな思いでした。そこまでして薬学部を選ぶ意味ってあるんでしょうか。向いてないことを続けて病むのってあほらしくないか?

 

あなたは薬剤師になるべきではない

実習中に何度も薬剤師に言われたことです。当時ははらわた煮えくり返る思いでしたし、お前こそだろ鏡見てから言えや!だったんですけど、今思えばまあ、そう思われても仕方なかったんでしょう。能力も何もかも欠けていて、劣等生で、優等生と比べればなんて頼りない存在か…だったんでしょう。

 

ただ勉強が厳しいだけではなく「常に自分が劣等生と自覚させられる環境」にずっといるのは本当に精神が病みます。得意なことならやっていけるけど、そうじゃないなら…学生生活はとても苦しい日々になります。

昔の自分は理系がかっこいいものに思えたので、理系クラスを選んで頑張って成績伸ばして薬学部に進みました。ただ、それが正しい判断だったのかは実は今でもわかりません。

 

method-of-pharmacist.hatenablog.com

今自分が高校生に戻ったとしたら、今度は薬学部を選ばないと思います。薬剤師になったことに後悔はないけど、そこにたどり着くまでに後悔は何百回もしました。大学時代は楽しいよりつらい記憶のほうが多く、それで本当によかったのかはいまだにわかりません。

理系が向いてないのに薬学部は…

優秀な人ばかりで自信は消え失せ、実験は下手なのでミスしまくって足を引っ張り、どやされまくってやる気を失い、そんな環境って果たして楽しいでしょうか?勉強は楽しいことばかりではないとはいえ、つらい思いばかりするのはしんどいですし続きません。

 

理系が向いてる人でさえしんどいのに理系ができないとどうなるのかは目に見えてますよね。無理して成績上げても苦手なことは変わらないんだから、入学してからも苦手なのはずーっと続きます。そのたびに自分が劣ってるのを痛感させられます。

 

method-of-pharmacist.hatenablog.com

 

留年する人の中にはこういう「向いてない」学生が多いのでは?と思います。ウサギとカメでいえばカメで、しかもわざわざ登りにくい急斜面の山を転びながら進んでるカメです。

誰しも最初からパーフェクトではなく日々の積み重ねで勉強のレベルは上がっていきます。しかし、勉強していて感じる苦痛があまりに大きい分野は、どうしてもやりたくなくなりますよね。そしてそれが続くのは果てしなく苦しい。

 

入学しても自分がビリにならなそうな分野を選ぶ、というのもある意味コスパの良い選択かもしれません。それは精神衛生という意味です。「自分なんてダメだ」を感じ続ける6年間なんてとてもつらいと思いませんか?私は本当に理系が好きで薬学も勉強したい人はぜひ薬学部に進むべきと思います。しかし本来得意じゃないのに、無理やり自分の適性をゆがめて薬学部にねじ込んでくるのはどうなのかなあ…と思います。入ってからがとてもつらいです。

 

method-of-pharmacist.hatenablog.com

 

大学は決して安いサービスではなく、日本は本当にやたらと教育にカネがかかります。なのでもっと時間と金と労力を大切にすべきです。身も心も若い貴重な時間をどう使うか、高校生の段階でよく吟味すべきです。

「向いてないこと、向いてること」は仕事選びでも非常に大切で、大学でも決して無関係ではないと思います。夢を追いかけるのは確かに重要で、若いうちはぞんぶんに挑戦すべきと思います。しかし、絶望的に向いていないことをやるのは本当につらいし、そのぶん得られるものというのは努力に釣り合っているのか疑問です。

あなたが進む方向は果たしてあなたに向いているでしょうか。

後悔しない選択をしましょう。