薬剤師のメソッド

進学、就職、国家試験、転職など薬剤師の人生についていろいろ

親が裕福なら子供を薬学部に進学させられる。ただし卒業・薬剤師免許は?

子どもには生活に困ってほしくない、やりたいことをやってほしい。多くの親が望むところでしょう。路頭に倒れてみすぼらしく暮らす姿なんて見たくありません。子供の選ぶ道は尊重したいし、成功してほしい。よほど意地悪な親じゃない限りそう思うはずです。

生活を安定させたい、そう考えたうえでよく候補に出てくるが薬剤師と言う職業です。薬剤師の安定神話はかれこれ昭和の時代から根強くあるのではないでしょうか。古くは花嫁の嫁入り道具としても珍重されたようです。社会的地位もありつつ医師ほどきつくない専門職、というポジションの薬剤師は特に女性には好まれます。

しかしこの薬剤師、表のイメージと実際ではだいぶ剥離があります。というよりも薬剤師になる前の「薬学部」が問題なのです。

 

薬学部は金がかかる。親が裕福ならOK

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まず大きな問題は、薬学部は金がかかるということです。特に私立大学。入学金や年間の授業代を見ればわかることですが、ひっくりかえるほど高い。大学ってこんなにお金をかけて行くものなのか?!と驚きます。しかもストレートに進級・卒業できるとは限らないので、留年した場合はもちろん学費は上乗せされます。私立はふるい落としがすごいので、ストレートで卒業が実は難しいのです。

 

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 金がかかる?だったら借りたらいいじゃない!と奨学金を使う手段もあります。もちろん間違ってはいないのですが…奨学金は言い方を変えただけでただの借金です。卒業後はもちろん返済しなければなりません。特に利子つきタイプは借りた金額より更に高額になるのでもうめっちゃきつい。20年単位の返済とか気が遠くなります。

 

ここでのポイントは、裕福な親ならば金銭的な問題は解消されるということです。入学金が高かろうと何回留年しようと、払う金が親にあるのであれば困りません。貧乏家庭でそれをやると詰みますが、お金がありあまっている家庭であれば問題ありません。いくら学費がバカ高い私立大学であろうと、安心して通わせることができるのです。

 

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卒業して薬剤師免許を取れるかは、子供の能力次第

しかし世の中そんなに甘くできていません。金の力だけで押し通せるほど専門職は雑魚ではない。数百万つぎこんで私立薬科大学に通わせてみても、成績が足りずに進級できないなんてザラですし、CBTやOSCEで進級できない、卒業試験に落ちる、国家試験を受けさせてもらえない、もちろん国家試験に落ちる、そんな例は腐るほどあります。

楽をしてゲートをくぐってはみたものの、執着地点はみんな一緒なわけです。そこでたらたらなめくさった態度で大学生活を送っていたら、そりゃあ進級もできないし単位も落とすし、卒業までたどりつけないのはわかりきっています。このへんは親の金ではどうにもならず、子供の能力に託すしかないのです。

 

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 このブログで何回も告げているのは「薬学部はしんどい」ということです。どんなに甘いことを囁く人たちが周りにいたとしても、「薬学部はしんどい」という言葉だけは頭のすみっこに置いておいてほしい。それくらいしんどいです。なのに軽い気持ちで入学する学生が多すぎる。

 

1日に何回「薬学部やめたい」と言ったか

私は卒業して薬剤師免許を持っていますが、それは結果論として良かったね、というだけで、万人にこれをおすすめすることはできません。だってめちゃくちゃきつかったから。周りの人間がばたばた倒れていくのを目にしていたから。

 

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 腹が立つことに薬学部がなぜだか6年制になり、地獄の期間が2年延びやがったわけです。学費も時間も1.5倍とか本当に許しがたいです。そのくせそれに見合った教育を受けたとはとても思えないので、私は正直6年制にいまだに懐疑的です。

で、この6年制の何がきついって、単に「学生期間が長くてつらい」んですよね。学生は社会人より責任もないし自由もきく、身軽な身分ではある。しかし「肩書、実績」はないわけです。たとえば6年の中盤で中退してしまったら「最終学歴は高卒」になるんです。24歳なのに。それってきつくないですか?5年半も死ぬ気でやってきても、最後までやり通さないと18歳のステータスに逆戻しになるんです。

そういう不安を6年間も抱えて過ごすというのは結構なストレスです。巧く行けば6年制卒業の薬剤師、下手を打つと最終学歴高卒…このギャップを小さいと考える人は少ないんじゃないでしょうか。

 

これを乗り切るためのタフネスは最早金どうこうではありません。子供がどれだけ頑張れるかです。すぐにくじけて逃げるタイプではたいてい続けられないでしょう。どこのスパルタ道場だという話ですが、現に薬学部に安易に入って留年地獄に巻き込まれてる学生は大勢いるのです。入ったからには絶対出る、固い決意を6年間貫くべきです。

 

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金があれば「入口」は簡単。出口は地獄

結論から言うと、親が裕福なら入学は容易です。高偏差値の国立大学なんて狙わなくていいです。金さえ積めば入れるどっかの私立薬科大学とかでもいいわけですから。「入学させる」ことは非常に容易です。

しかし、薬学部の最大の目的は「薬剤師免許」です。これを取るためのレベルは国立だろうと私立だろうと関係ありません。国家試験が突破できるほどのおつむを持たないとなりません。そうなるとどうなるか?入学後が勉強尽くしになるのは容易に想像つきますよね。

 

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 薬学部で楽な学年はあるのか?という問いには、個人的には「ないんじゃないかな…」って思います。なんか知らんけど常に勉強しててつらかったです。遊んだ記憶より勉強してた記憶の方がずっとずっと多い。これは薬学部である限りついてまわる問題で、結局勉強ができないのであれば薬学部なんて来るべきじゃないんです。

 

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お金でたいがいの物事は解決できますし、あるに越したことはありません。しかし大学を卒業し薬剤師免許を取る。これにかけては、裏口受験でもしないかぎり本当に子供の能力しだいです。軽い気持ちで入学させたけど10年たっても卒業できない…そんなのもリアルにあります。金を積めばいい問題じゃないんです。子供の能力が一番大切です。

 

薬学部は特殊な環境です。とりあえず通わせとけばなんとかなるでしょ、と甘いことを考えない方がいいです。