読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

薬剤師のメソッド

進学、就職、国家試験、転職など薬剤師の人生についていろいろ

実務実習指導薬剤師の一言で、薬剤師の未来に絶望した

実習

私はかつて、ある調剤薬局で実務実習をしていました。

指導薬剤師さんを相手に服薬指導の練習をしていました。

私は渡された服薬指導マニュアルや添付文書をもとに、患者さん役の指導薬剤師さんに説明をしていました。

指導薬剤師さんは腕を組みながら私の話を聞いていましたが、いきなり怒り出し、服薬指導がまるでできていないと怒鳴り散らしました。

指導薬剤師の一言

f:id:method-of-pharmacist:20160722213024j:plain

指導薬剤師さんは声を荒げて言いました。

「服薬指導に難しい言葉を使うな!患者さんに伝わるわけないだろ!混乱させるようなことを言うな!」

 

これには私も反省しました。

私はマニュアル通りの言い方しかしなかったので、患者さんのような薬のことを知らない人でも理解できるような言い回しをしなかったのです。

ついつい口調が専門的になってしまい、薬剤師や薬学部の人間以外には伝わりにくい表現になってしまったことを反省しました。

 

しかし、次に指導薬剤師は言いました。

 

「薬剤師なんて勉強しなくていいんだから、ニコニコしてたらそれでいいんだよ!患者さんは早く薬を受け取って帰りたいんだから、薬剤師なんかの専門的な説明は邪魔なんだよ!」

 

私は頭を鈍器で殴られたようなショックを受けました。

薬剤師としてとても重要な業務であるはずの服薬指導。それを「邪魔」と言われた。

薬学部は6年間必死で勉強する学部です。そこまで勉強してなるはずの薬剤師は、「勉強しなくていい」職業なんだそうです。

 

私はすっかり困惑してしまい、そのあとの実務実習を続けていくモチベーションを失ってしまいました。

患者さんと向かい合うたびに「どう話したらいいんだろう?」と困ってしまいました。

難しい話をしてもわかってもらえないかもしれないし、患者さん自身も説明なんて必要ないのかもしれない。

患者さんはただでさえ病院での診察を受けて疲れているのだから、薬局にいる時間は極力短くさせなければ……

 

そう思って服薬指導をすると、本当にあたりさわりのないことしか言えなくなってしまいました。

実習先の薬剤師さんも、みんな同じことしか言いません。にこにこしながら簡単な説明をするだけです。

薬剤師さんが業務中に薬の勉強をすることはほとんどありません。私語やお茶をすることはしょっちゅうありますが、薬の勉強はほぼしません。

「薬剤師は勉強しなくてもよい」という指導薬剤師の方針に従っているのでしょう。

 

薬剤師への期待の消失

実習先での経験は相当なショックになって私の人生に影響しました。「薬剤師は勉強しなくてもいい」と言い切る指導薬剤師、定型句しか口にしない薬剤師たち。そんな環境で仕事なんかしたくないと思いました。

 

もし薬剤師が「ニコニコしてさえいればいい」仕事なのであれば、調剤薬局なんていらないでしょう。ほかならない薬剤師自身が、自分の仕事のことを「勉強しなくてもいい」仕事なんて言うのですから、情けない限りです。

 

私の実習先が悪かっただけなのかもしれません。それでも、「薬剤師は勉強しなくてもいい」などという考えが薬剤師の主流なのだとしたら、私はこの仕事に絶望せざるを得ません。人の命をあずかる職業であるにも関わらず、「薬を渡しさえすればいいんだから、余分な勉強なんて邪魔」と言われてしまっては、あまりにも悲しいではないですか。

 

専門的な知識で人の役に立つ、新しい時代の薬剤師へ

大学時代の友人で、調剤薬局から病院に転職した者がいます。のんびりと調剤薬局で働く日々が最初は楽しかったものの、だんだん「なんのやりがいがあるんだろう」とむなしさを感じるようになったそうです。薬を右から左に受け流す、医者の言いなり、患者をさばくだけの仕事に何も達成感を感じられなくなったそうです。

 

薬学部が6年制教育に変更されたのも、薬剤師は世のため人のために活躍できる職業であるという期待を負っているゆえだと思います。

薬剤師が「患者に薬を流すだけ」の知識のいらない職業だとするのであれば、それは前時代の常識です。

 

今、実務実習で上記の考えを持つ指導薬剤師がいる場合、彼らの考えには染まらないようにしてください。

彼らとあなたは、世代が違う薬剤師です。

 

薬剤師がより社会での信頼を得る職業になる未来には、「患者をさばく」仕事をしているだけでは永久にたどり着けません。