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薬剤師のメソッド

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「聲の形(こえのかたち)」映画ネタバレ感想。硝子が将也に告白した理由は?

雑記

映画「聲の形」を見てきました。

前からぜひ見てみたいと思っていた映画だったので、ようやく観られてとても嬉しい。

君の名は。」といい、今年はアニメ映画が豊作ですね。

制作は「けいおん!」「涼宮ハルヒの憂鬱」などで有名な京都アニメーション

京アニが作るアニメなら、女の子のかわいらしさはお墨付きです。

2時間というアニメ映画にしては結構長い内容(君の名は。より長かった)でしたが、すんなり視聴することができました。面白かったです。

 いじめっこのガキ大将といじめられっこの聴覚障碍者の友情

最初、この映画は「恋愛映画」だと思っていました。

小学生のころに同じクラスだった聴覚障害がある女の子・西宮硝子と、高校3年生になって再会した元ガキ大将・石田将也。

この2人が手話を通じてコミュニケーションを行いながら、いつしか友情を超えた関係になる…そのような物語だと想像していました。

 

しかし、実際には恋愛映画ではありませんでした。

 

たしかに作中で硝子は将也に「すき」と告白するのですが、その気持ちは将也には通じていません。皮肉にも、彼女が苦手とする「声」で告白したばっかりに、将也は彼女の「すき」を聞き取ることはできませんでした。

 

いじらしくポニーテールで自分の弱さ=補聴器をさらけ出した上での告白。将也に自分を受け入れてほしかったんでしょうね。

 

そのあとも、物語の終幕まで、将也は硝子を恋愛対象として好きになることはありませんでした。終盤のシーンを見ると、恋愛を通り越してプロポーズに等しい発言をしているのですが……彼らが恋愛という意味で「両想い」になることはありませんでした。

 

そして、硝子が将也と両想いになろうと働きかけるシーンはありませんでした。あくまで硝子の告白シーンは物語の一部として取り上げられる意味で、二人の恋愛が物語の主軸になることはありませんでした。

 

そういう意味では、聲の形は恋愛映画ではありませんでした。二人のラブストーリーを期待して観ると、肩透かしを食らってしまうかもしれませんね。

 

この物語は硝子と将也、生きづらさを抱えた二人がもがきながら、途中でつぶれそうになりながら、未来へ進む道を模索していく…その生きざまに焦点が当てられています。

 

物語としては相当硬派ですので、アニメだから、とか、若い男女の恋愛物語っぽいから…と避けている方にもぜひ見ていただきたいです。

 

実写化ドラマもあり得る内容

ストーリーは暗いです。生々しいいじめの描写もありますし、主人公たちが自殺を図るシーンもあります。

登場人物も良いやつは少ないですし、基本的に全員自分勝手です。

 

そもそも将也が元いじめっこですからね。硝子の補聴器を何個もぶっ壊して耳をケガさせるという、普通にクズの行動もとっています。

硝子が将也を好きになっていたからよかったものの、普通に考えたらトラウマ級ですよ。あとあとの人生に残る辛い思い出になってもおかしくないです。

 

それくらいのことをしでかした将也という主人公は、クラスメイトからのいじめを受けることで、それ以後5年以上生きづらさを抱えて暮らすことになります。

高校生編の将也は、小学校時代の面影ゼロのおどおど君になっていましたね。

 

硝子も「いい子」であるように見えて、実際はそうじゃないんじゃないの…?って思えます。コミュニケーションが取れない現実をごまかすかのように、不器用な笑顔をしたり、「ありがとう」と言ったりしているかのように見えるので。

 

植野がイライラするのもなんとなくわかります。自分が好きな男は奪われるし、文句のひとつぶつけてやりたくても、相手はあいまいな反応しか返してくれないんですからね。恋敵としてもやもやむかむかする気持ちもわからないでもないです。

 

京都アニメーションのかわいらしい絵、きれいな風景描写で中和されている感はありますが、実際には相当「暗い」話です。実写ドラマでありそうな話じゃないですかね、これ。絵こそかわいいけど、話はガチガチに社会派です…

 

アニメに癒しを求めている方にはきつい内容かもしれません。絵は文句なしに良いんですけどね(京アニの女の子は、髪の毛とか目の表現がとても繊細できれいですよね)

 

癒されない内容ですが、考えさせられるストーリーです。

 

自己中心的な将也

そもそも硝子と将也が再開したのも、「将也が自殺するため」なんですよね。自殺前の度胸試しとして、硝子に会いに行っただけであって。硝子に贖罪したいとか、硝子の苦しみを引き受けたいとか、たいそうな思いがあって会いに行ったわけではない。あくまで自分が死にたいから、その前の心残りの解消として硝子を手段に使ったにすぎないわけです。

 

これ、硝子からしたら良い迷惑ですよね…

いじめっこから離れて穏やかに暮らしていたのに、昔のトラウマを植え付けてきた男が居場所をつきとめて追いかけてくるわけですよ。しかも自殺前に。

普通に嫌ですよ、これ……。

 

将也の生きづらさもよくわかりますが、子供のころやらかした所業、そして硝子に会いに行った動機を考えると、こいつもたいがいなクズだなあって思いました。

 

物語の表面に出てこない硝子の心情

そしていじめられっこといじめっこが和解?するためのファクターとして「硝子が将也を好き」という事実が発覚するのですが…

これ、いつからだったんでしょうね?

小学校?高校?

自分とのコミュニケーション手段として手話を覚えてきてくれたから?だったら高校からでしょうか。

 

正直、硝子が将也を好きになる理由がふわっとしていた感じがするのが否めません。いじめられっこがいじめっこを好きになる、って…そうそうあることじゃないと思うのですが。硝子は「将也が手話を覚えて会いに来てくれた」だけで、過去のトラウマを清算できるくらい心の広い女だったということなのでしょうか。

 

映画全編に言えることですが、硝子の心情がよくわからないシーンが多く、特に後半は硝子おいてきぼりで話が進んでしまうのが、ちょっと残念でした。

 

硝子がなんで将也を好きになったのか、結絃を通してでも、少しでも触れてくれたらいいのにな~って思いました。だって、結弦のような姉思いの妹からしたら、「なんであいつ好きになるの?!あいついじめっこだよ?!昔あんだけ池に落とされたりノート捨てられたり水かけられたりしたの忘れたの?!マゾなの?!」ってなりませんかね。

 

そして終盤のシーンの投身自殺。

硝子がなぜ飛び降りるまでに至ったのか…植野との遊園地でのやりとりとか、橋の上で将也がキレるシーンとか、「私と一緒にいると不幸になる」などの発言から、硝子が精神的に不安定になることが予測される場面は数々ありました。

 

それでもあの飛び降りるシーンは衝撃的でしたよね…

「硝子は声を使ってコミュニケーションできないから、他の人物たちに自殺のサインを伝えることはできなかった」

という意味での、突然の自殺シーンなのだとしたら、悲しくてなりません。

結弦が将也にカメラを取ってきてくれ、と頼まなかったら、硝子はあの花火大会で神隠しみたいに死んでしまったわけですから…

 

物語の後半、硝子をおいてきぼりで話が進んだり、硝子の心情が突拍子もない方に動いたりするのが見えて、そこは驚きとともにちょっと心残りだった部分です。

硝子は「いい子」なんじゃなくて、「自分の悪い部分を伝える手段を見つけられない」ばっかりに、いい子であるかのように他人からは見えるだけだと思うんですよね…。

 

だからこそ、一切いい子ぶらず心のままに行動する植野とは衝突したのでしょう。素直すぎるゆえに摩擦する植野からしたら、おとなしく生きているだけでまわり(将也)がかまってくれるかのように見える硝子は、いらだつ存在だったでしょうから。

 

漫画を読んでみたくなりました

この映画は原作7巻ぶんの内容を2時間におさめています。この難しい内容を、しっかりと一本の映画で整合性を保ってまとめあげたのは驚きます。

しかし、実際見てみると、ちょっと駆け足でストーリーが進んでいる印象もなくはなかったので、そのへんは原作漫画を読んで補完すればいいのかなってところです。

 

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感想(0件)

 

 全7巻ですので一気読みもできますしね。

 

しかし京都アニメーションのアニメ、さすがに女の子のかわいらしさはおすみつきでした。ささいな表情での感情描写もものすごく繊細。キャラデザは君の名は。より聲の形のほうが好きですね。

 

あと「水」の表現がとても秀逸。これは「Free!」とかの制作経験があるからでしょうか。作中に何回も出てくる「水の中」の描写が、「硝子の世界」と重なるんですよね。

耳が聞こえない世界というのは、水の中のモゴモゴ…ボコボコ…と音があやふやに響くあの世界に重なるのかもしれない。

将也が幼少期に何回も飛び込んだ「水」の描写を、硝子のいる世界とリンクさせるのはさすがだなって思いました。

 

そして手話もやってみたくなりましたね。映画を見る限りだと、慣れたら早いスピードでコミュニケーションができるようになりそうです。

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 映画というエンターテイメントを通じて、障害やハンディキャップへの理解が促進されるというのはとてもいいことだと思います。

かわいらしい絵でゴリゴリの社会派メッセージや、自己中心的に揺れ動く少年少女の心情を描き切る傑作でした。

 

君の名は。のようなファンタジー要素は一切なく、むしろ完膚なきまでに現実の痛々しさを知らしめるリアリスティックストーリーではありますが、鑑賞する価値は十二分にあります。おすすめです。

 

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