薬剤師のメソッド

進学、就職、国家試験、転職など薬剤師の人生についていろいろ

【進学】社会人から薬学部に入り、薬剤師になるときに注意すべきこと10【編入】

薬学部は年齢層が広い学部です。現役の学生もいれば、社会人になって入学する学生もいます。後輩なのに自分よりひとまわり年上、そんなのも当たり前です。大学は年齢にこだわらない場所なので、社会人の学生も普通にいます。医歯薬系は特に年齢がばらばらです。社会人を経験した後、やっぱり薬剤師の免許をとりたい、といって入学する人も多いです。

じゃあ社会人が薬学部に入り、学生生活を送り、薬剤師免許を取るまでのあいだに何を注意すべきでしょうか。

1.学費が高い

これは現役学生でも同じなのですが、学費がとにかく高い。なんでこんなに高いのって憤りたくなるくらい高いです。社会人学生となると、自分でこの学費をまかなわなくちゃいけないので、さらにしんどい。親が出資してくれることは少ないでしょう。自分でどうにかするのであれば、入学前にある程度蓄えが必要です。

 

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 奨学金はおすすめしません。奨学金といいますが実質は学生ローンというか、ただの借金なので…家の都合で借りなきゃいけない学生は多数いますが、卒業後に大変なことになる人も多いです。

 

2.私立にするか国公立にするか

正直、私立ならアホほど数があります。入学難易度も高くないとこが多いです。なので「入る」ことだけを考えるのであれば、私立の薬学部もありです。

国公立の薬学部は難易度が高い。旧帝大じゃなくてもそこそこ高い。これをいちから勉強して入学するのはめっちゃしんどいです。少なくとも私なら絶対やりたくないです。それでも学費は安い…

 

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 結局、学費の安さをとるなら国公立、入学のスムーズさをとるなら私立になってきそうです。どっちが良い悪いではありませんが、自分が重視するものに合ってる方を選ぶべきです。

 

3.地方での大学生活

特に国公立ですが、地方、いってしまえば田舎に大学があることが多い。ここで最低6年間学生生活を送ることへの抵抗はないか、ということです。特に都会暮らしが長い人は困惑するかもしれません。都会ならあって当たり前のものがありませんから。

 

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 遊びに行くわけじゃないので、地方のほうがかえって誘惑が少なくて勉強に専念できるのかもしれません。東京、京都、大阪などの都市の国公立なら、まあ普通に都会の薬学部生活を送れるのですが…ここに入れる学生は限られていますね。

不便な地方に6年間、これは最初は困惑するかもしれません。住めば都とはいいますけどね。

 

4.ジェネレーションギャップ

仕方ないことですが、社会人で大学生になった人と、現役で大学生になった人ではまったく世代が異なります。たとえば30歳で大学に入ったら、ちょうど一まわり上になるわけです。18歳から見たら30歳なんておじさんおばさんです。違う世界の生き物です。

自分の中での常識は通用しません。学内は年齢層がごちゃごちゃしているので、会社の後輩より年下の学生とタメ語で会話、が当然になります。

 

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よく考えるとこれは不思議な現象です。会社では部下の年齢に敬語を使って無茶振りされても言うことを聞かないといけないんですから。そこでノリきれないと「めんどくさいやつ」と思われて浮いていきます。

学生になった以上、同級生はすべて公平であり、先輩のいうことは聞いておいたほうがいい。ぼっちの学生生活はつらいですから。

 

5.浮かない、イキらない、ふんぞりかえらない

一番痛いのは同級生なのに「俺年上だから」「社会人経験してるから」「おまえらとはクラスが違うから」ってイキることです。ああ見苦しい。社会人のころどうであろうと、同じ大学の同じ学年であるのは一緒です。つまり、マウントなんて取っても意味がないのです。ほかの学生からしたら「はあ、それで?」なのです。

会社なら新卒の社員にイキっても「あの先輩うざい」で済みますが、大学生活はチーム戦なので敵を作るのは悪手です。できるだけへりくだりましょう。ひとまわり年下の子供にタメ語を聞かれるのはイラっとするでしょうが、こらえましょう。同じ学生なのです。

 

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年下に少し生意気な態度を取られたからと言って喧嘩をしてはいけません。社会では年少でも大学では平等です。くれぐれも人間関係の維持には気をつけてください。

6.勉強する体力

一番ネックになるのはここです。とにかくきつい。薬学部はきつい。勉強する量が多い。やってもやっても次の課題が出てくる。終わることのない地獄。単位を取れるか、進級できるか、びくびくする毎日。大学じたいが嫌になってしまい去ってしまう学生もいたり…

現役でもこれなのだから、社会人なら猶更です。個人差はありますが、やはり勉強する能力が一番高いのは20歳前後の学生と思います。脳が新鮮ですからね。そんな若い学生でさえひいひいいうのですから、アラサー以上なんてもう大変です。

 

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 入学さえすれば勝ち組!…なんてことはありえません。入学したら地獄の始まりです。つぎつぎ降りかかる課題の重さに耐えられるでしょうか?年老いた脳でついていけるでしょうか?

これはマジで深刻な問題です。ほかの学部ならともかく、医歯薬系を歳とってから履修するのは本当に大変。私だったら絶対やりません。

 

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7.孤独

基本的に勉強してばかりなので、一人の時間が長いです。一人大好き大歓迎の人であれば問題ありませんが、ときおりふっと我に返って「なんでこんな田舎で一人で勉強してるんだ?終わりはいつ来るんだ?」と思うようになるとやばいです。孤独は確実にあなたを蝕み、学生生活の邪魔をします。

サークルやバイトをしてなんらかのコミュニティに属しておくことをおすすめします。ただでさえ社会人学生は孤立しやすいので、学部以外の場所で人と交流してリフレッシュするのをおすすめします。できれば友人も作っておきましょう。

 

8.6年後の自分の老化

18歳で入学しても卒業は最短24歳です。長いですよね、6年間。まだ18→24ならましですが、たとえば30→36ならどうでしょうか。卒業するころにはアラフォーです。老化も確実に訪れてきています。今より体力がないのも明らかでしょう。女性の場合ならどうでしょう。結婚や出産、育児に関する対策はどうしますか?学生結婚もありですが、子供を育てながら薬学部はかなりしんどいでしょう。

 

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 学生生活を送るということはその間はバイトなどのお金しか稼げないということです。同世代より所得が少なくなるのも必然ですし、経済的に弱い状態でアラフォーで世に放り出されるということです。

免許があればまあOKなのですが、免許なしで放り出されたら…マジで悲惨です。

 

9.薬剤師免許なしで卒業してしまう

何しに薬学部に入ってきたの?ほんとそういいたくなります。薬学部の役割なんて9割が免許取得なのに、それを経ないで6年もちんたら勉強して国家試験に失敗して薬学部だけ卒業する。はあ?としか言いようがありません。そんなおそまつな結果になったら、ほんと時間の無駄というか、これまでの時間なんだったの??です。

 

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 薬学部に入ったなら、命がけで免許をとりましょう。免許のない薬学部なんてカレールーのないカレーです。意味がありません。国家試験に失敗したなら、何回も受けて意地でも取得しましょう。そうしなきゃ、本当に意味がありません。

 

10.卒業できずに留年して中退

私の知る社会人薬学生は何人か失踪しました。留年を繰り返しててやばいなと思っていましたが、学部での孤立が年々際立ち、ストレスが高まり、もうやってられないと消えてしまったそうです。若者だらけのシチュエーションもいらいらしていたようです。

ただでさえ失踪の多い学部なので、社会人学生も負けないようにしないといけません。卒業して免許をとること、それが一番の目的です。なら留年や中退なんてしていられません。高いお金と時間を投資して薬学部に入るのだから、なにがあろうと卒業です。もたもたしてる暇はありません。

 

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 薬剤師は安定性がないと最近言われていますが、それでもAIが完全支配する日は遠いです。ほかの職業のAI化のほうが早いでしょうし…先のことはわかりませんが、覚悟を決めて薬学部に入ったなら、ラストまで貫くべきです。孤独や怠惰に負けてはなりません。

 

薬学部はしんどい

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長い山道を登るような薬学部生活

ただでさえしんどい薬学部に老いた体で入るのですからかなりしんどい。体力もないし根気もない。コミュ力もないと孤立して詰みます。ハードな道ですが、あえて選ぶのであれば、絶対卒業して免許を取るという強い決意を持つべきです。私だったら絶対やりませんが…

社会人からでも薬学部に入ることは可能です。6年間しんどい学生生活ですが、勝ちぬいて免許を取得してください。