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薬剤師のメソッド

進学、就職、国家試験、転職など薬剤師の人生についていろいろ

会社で長く働き続けたいなら、「デキる社員」にはならないほうがいい

仕事

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新入社員として働いていると注意されることも多いですよね。

「なんでこんなこともできないんだ!」って怒られることも多いですよね。

「説明されていないことなんてできるわけないだろアホじゃないの」って内心思いながらも、「申し訳ありません…」と頭を下げなければならない会社員生活、しんどいですよね。大人ってそんなもんです。

あまりにも怒られすぎていると、そのうち自分があまりにも会社員として終わっている存在なんじゃないかと思えてきます。そして「もっと優秀な社員にならなければ」「もっと仕事ができるようにならなければ」と思うようになります。

しかし、私は経験上、それはおすすめしません。仕事ができないからと言って、「デキる社員」を必死で目指す必要はないと思います。なぜなら、できる社員になればなるほど、損をするからです。

デキる社員に仕事は積み重なる

当たり前ですが、できる社員に仕事は増えます。当たり前ですよね。同じ仕事を10分でできる社員と1時間でできる社員、仕事の質が同じなら、前者の方が重宝されるのは当たり前の話です。なぜなら前者の社員に任せていれば、その仕事を一時間で6個こなしてくれるんですから。計算上はね。どんくさい社員に任せる仕事なんてありません。

 

こうして緊急性のある仕事はどんどん「デキる」社員に集まってきます。その人に任せた方が仕事は早くさばかれますし、さばける量も多いですから。「デキる」社員というのは責任感が強く、任された仕事も断れない傾向にありますので、最初は少量だった仕事もどんどん増加していきます。定時ではさばききれないような量に膨れ上がります。それでも責任感が強いので「残業して終わらせます」と言います。実際、残業してその人は納期に合わせます。

 

すると上司はどうすると思いますか?その社員をねぎらうと思いますか?仕事を減らして休ませますか?評価を上げますか?

 

違います。さらに大量の仕事を任せます。

 

「こんなに過酷な条件でも仕事をこなせる社員はめったにいない。だからめいっぱい利用してやろう。ほかの社員にはできない量の仕事もこいつはこなせるんだから、やれるだけやらせよう」

 

といって、ほかの社員とは明らかに異質な量の仕事を任せます。

 

優秀な管理職なら個人の限界を見極められますので、社員がつぶれる前に仕事を減らしたり分配したりといったタスクもこなせますが、なにぶん優秀な管理職は少ないです。上からの圧力にイライラし、下をどやすだけの日々です。

そんな管理職には個人のキャパシティの限界など観察する余裕はありません。ですので、「仕事をさばけるデキる社員」に無尽蔵に仕事を押し付けます。その結果、その社員はどうなると思いますか?

 

はい。つぶれます。心も体も病んで、休職するか、退職します。

 

「ぼろ雑巾のように使い倒す」とはまさにこのことです。社員個人の価値や力量、体力も見図ろうとせず、使えるだけ使って搾り取って、不調をきたしたら即ポイです。

 

ごくまれにすさまじくタフな社員がいて、そのような人は人間とは思えない量の仕事をこなすことができます。そのような人はめきめきと実力を発揮して、そう遠くない将来に会社を担う人材になります。

 

しかし、あなたはどうでしょうか?

そのようなスーパーマンのような人材でしょうか?

そうなれるでしょうか?

今はそうなれたとしても、5年、10年も、同じような働き方が続けられるでしょうか?

 

「デキる社員」が逃げていく残念な会社

私の薬学部時代の友人で、一般企業に就職した人が何人かいます。その人たちの多くは退職して今では薬剤師です。彼らは決してメンタルが弱くもなく、知識が足りないわけでもなく、むしろエネルギーにあふれる学生でした。向上心が強く、与えられる仕事をどん欲にこなし、出世欲も人並み以上にあるような人材でした。

 

そのような人たちが、みんな濁り切った目をして、会社を去っていきました。

 

「仕事をやればやるほど、たくさん任される」

「どんなに残業しても終わることがない」

「自分より楽をしている人間がたくさんいるのに、自分がこんなに苦しいことが耐えられない」

 

仕事の夢を語っていた彼らはもうどこにもいません。そこにいるのは、会社への絶望と、やってもやっても賽の河原のように終わることのない膨大な仕事へのあきらめと、数年で刻まれたとは思えないくらい深い顔のしわを付けた疲れた薬剤師でした。

 

薬剤師に限らず、同じような思いをして会社を去る若い人というのは非常に多いのではないでしょうか。念願の仕事に就いたにも関わらず、とてつもない量の仕事を任され、こなしてもこなしても終わらず、他の人に分配することもできず、強い責任感ゆえに心と体を病んでしまい、会社を去る結末になってしまった人たち。彼らの多くは有能な人材だったことを思うと、社内教育の稚拙さにため息をつかざるを得ません。

 

管理職は「デキる社員」に押し付けすぎないでください

そりゃ仕事が終わるスピードを考慮すると、仕事が遅い社員より、早い社員に任せた方が有利なのは明らかです。行く先々でトラブルを起こす社員より、スマートな対応ができる社員に営業先を廻らせた方がいいのも明らかです。

 

しかし、人間は機械ではありません。というか、機械でも酷使すると壊れてしまいます。人間のような不確かで扱いづらいものを部下にしている以上、部下がどのような状態で日々仕事をしているのか、管理職の方には常にチェックしていただきたいです。

 

仕事の効率を最優先にして、ある社員に荷重を集中させていないか。

そのことについて、社員は強いストレスを抱えていないか。

その荷重を分散させる方法はないか。

 

できるだけ仕事の効率を落とさず、社員の負担も重くなりすぎずに業務を遂行することができないか。

 

「あいつはよくやってくれているから勝手にさせている」それで部下の様子もチェックせずにほったらかしでは、管理職のいる意味ってありませんよね。

長い目で社員を育てていくのであれば、責任感が強い「デキる社員」を短命にしてしまわないマネジメントが求められるでしょう。