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薬剤師のメソッド

進学、就職、国家試験、転職など薬剤師の人生についていろいろ

インテグレートCM炎上への違和感:働く女性は美しさも強制されるのか

雑記

資生堂のメーキャップブランド「インテグレート」のテレビCMが批判を受け、放送中止になりました。

www.huffingtonpost.jp

インテグレートといえば岸本セシルのTVCMと、「ラブリーに生きろ♡」のキャッチコピーで人気を集めていた資生堂の有名コスメブランドです。

プチプラながら使いやすいアイテムも多く、私も愛用していたので、今回の炎上は非常に残念です。ブランドリニューアルの矢先にこのような批判を受けて炎上してしまっては、今後のインテグレートの戦略も難航するかもしれませんね。

「がんばりが顔に出ているうちはプロじゃない」

インテグレートのテレビCMに対して、ネット上で「セクハラ」という批判が集中しました。私も実際のテレビCMを見ましたが、確かに「これを現代に流すのか…?」と違和感を覚えました。昨年炎上した「ルミネ」のテレビCMと同じ流れを感じたんですよね。

nlab.itmedia.co.jp

 

インテグレートのCMはルミネのそれと非常に良く似ています。

仕事に打ち込む小松菜奈演じる女性部下に上司が「よくがんばっている」と声をかける一方、「それが顔に出ているうちはプロじゃない」と苦言。

女性部下は女友達との女子会でそれを言い、女友達は「は~~」「なるほど~~」と納得。

「がんばりが顔に出ないプロ」になるためにインテグレートのコスメを使った小松菜奈に、男性上司が思わず振り返る…

インテグレートの新キャッチコピー「いい女なろう」を伝えてテレビCMは終わります。

このCMに違和感を覚える視聴者が多いのは当然と思います。わざと炎上させるためにこんな作りにしたのでは…と穿ってしまうレベルです。

 

違和感1:内勤でそんなことを言われても…

接客業などお客様と接することが多い職業で、接客中にあまりにも疲れた顔をお客様に見せている部下に対して上司が注意する…といったシチュエーションならまだ納得は行きます。接客業であれば、疲弊した顔をお客様にさらす、というのは失礼な行為にあたりますから。

 

ただ、このCMを見る限り、女性部下は内勤ですよね。オフィスの中で夢中で仕事に打ち込んでいる分には、注意される筋合いもないんじゃないでしょうか。別に裸で仕事をしているわけでもないですし、社会人としての身なりは整えているのですから。

 

たしかに「がんばりすぎている姿」は傍から見ると見苦しいこともありますが、男性上司にわざわざ「がんばりすぎているのを見せるのはプロじゃないぞ」と注意されるのは、CMとはいえ見ていて違和感があります。「お客に見せる」ならともかく「俺に見せるのはプロじゃないぞ」ってなんか変じゃないですか?

 

2.がんばっている姿を見せるな=化粧しろ なの?

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たとえば姿勢を正すとか、言葉遣いを整えるとか、身振り手振りをあわただしくしないとか、時間管理をしっかり行うとか、読みやすい文字を書くとか、「プロとしての姿勢を整える」手段はいくつもあるわけです。あのCMですとデスクランチをやめて、落ち着いて食事をとるとかですね。

 

なのに「がんばる姿を見せないプロになる」=「いい女になる」=「インテグレートのコスメで化粧をする」という図式でCMのストーリーが進むのがいまひとつ違和感があります。コスメのコマーシャルなのですから化粧するのはまあ当たり前なんですけれど、その動機が男性上司からの「がんばりを顔に出すのはプロじゃない」というのはなんとも…。

 

そもそもコスメは他人受けだけではなく「自分のために使う」という消費者もたくさんいるわけです。自分のテンションを上げたり、いつもと違う自分に変身したり、いわゆる「自己満足」のために使うアイテムの側面もあります。

個人的には、コスメのCMには「他人のためではなく、自分のために化粧してきれいになろう」というコンセプトを打ち出して視聴者に夢を持たせてほしいです。あのCMを見る限りだと、本当に「化粧が女性の強制事項」であるかのように描かれていて、非常に違和感です。自分で化粧するのならともかく、おじさんに強制されて化粧なんてしたくないですよ…

 

ちなみに薬剤師は化粧をばっちりしていると患者さんから怖がられることもありますので、基本うすめにしかメイクできません。ファンデーションしかしていない人も多くいます。あのCMに言わせると医療職は「プロじゃない」のでしょうか…

 

3.働く女性に強制される「メイク」「女子力」への違和感

まるでメイクをちゃんとしていない女性は働く女性として失格、と言わんばかりのインテグレートのCM。あれを見て「化粧しなきゃいけないの?」と抑圧を感じてウンザリする女性視聴者は多くいるはずです。

すっぴんだと顔色が悪い、身だしなみがなっていないと言われ、厚化粧だと会社に遊びに来ているのか、男をあさりに来ているのか、と言われ、化粧直しをしないと疲れが顔に出ているのはプロじゃないと言われ……

 

なぜコスメのCMで女性の働き方にまでお説教を垂れられなければならないのか、見ていて非常に違和感があります。働く女性の全員がコスメ大好き!メイク大好き!とでも思っているのでしょうか。

先日の電通社員過労死の件でもありましたが、上司が「目を充血させて出勤するな」「女子力がない」などと女子社員を責める言動があったようです。

news.livedoor.com

働く女性は、どれだけしんどくても美しさや女子力、「俺が考える魅力的な働く女子」像を守るべきだ。どれだけ荷重労働があろうと身だしなみやルックスにそれが反映されるのは「働く女性」として失格だ……

 

うんざりします。世の女性たちは、オフィスのおっさんたちに見せびらかすために女子力高めたりメイクしたりしているわけではないんですから…

まして、インテグレートのようなコスメブランドのテレビCMにまで、「働く女性はしっかりメイクをして常に美しくありなさい」とご高説を垂れられるのは正直失望です。それこそ酒臭かったり加齢臭がとんでもなかったり、タバコのにおいをぷんぷんさせている男性社員の改善こそ急務なんじゃないでしょうかねえ。

 

時代錯誤なCMですね

わざと炎上させているのかと思うくらい、今回のインテグレートCMは狙ってかましていましたね。インテグレート自体は「ラブリーに生きろ♡」のころから好きなブランドだったので、今回のCMにはがっかりです。現代に生きる女性の味方になってくれるのかと思いきや、おじさんの説教を公衆の電波に乗せただけだったでしたからねえ…

 

正直、働く女性に「美しさ」だの「女子力」だのを職場の男性が求めてくるように見えるあのCMは時代錯誤と言わざるを得ません。「職場の華」とか悠長なこと言っていられる時代は過ぎてしまったのですから。いまや男も女もソルジャーですよ…

厳しい現代なのですから、せめてコスメブランドくらいはCMで夢を見させてもらいたかったところです。