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薬剤師のメソッド

進学、就職、国家試験、転職など薬剤師の人生についていろいろ

「うつが辛い時期」にやるべきことは運動・筋トレではなく、休養

雑記

はてなブログでこのような記事を読みました。

www.sayulog.com

最近「運動がうつへの特効薬!」というフレーズをネットで見かけることが増えたように感じます。

「筋トレが最強のソリューションである」なんて本も人気を集めていますね。

運動はもちろん健康習慣として積極的に取り入れていくべきものですし、体を動かすことはストレス解消にもつながります。

しかし、すべての場合において運動が有効であるとは限りません。

重症期のうつ患者に運動はおすすめできない

うつは「重症期」というどん底を経てから、「回復期」で徐々に気力や体力を取り戻して寛解に向かっていく病気です。

社会生活を送るための体力を養うために「回復期」で軽い運動を行うのは有効です。リズミカルで、体に強い負荷をかけないものがいいです。

 

ウォーキング、踏み台昇降、スクワット、ラジオ体操…過度な負荷がかからず、疲れすぎずにやり続けられる運動であれば、うつ病からの回復のリハビリには積極的にすすめています。

 

「重症期」を経た患者さんは気力、体力ともに非常に低下しているので、急激な社会復帰はうつの再発を呼び込みます。社会復帰のためのエネルギーを養うために、軽い負荷の運動を継続することはとても有効です。

 

今年はポケモンGOで運動習慣を取り入れた患者さんもたくさんいらっしゃいました。歩きスマホという点では非常に注意しなければなりませんが、普通にウォーキングする程度なら問題ありません。メンタルヘルスに効果的な運動習慣でしょう。

method-of-pharmacist.hatenablog.com

これから寒さが厳しくなるので、風邪などひかないように気をつけて。 

 

しかし、うつ症状が精神的にも肉体的にも強く出ている「重症期」の患者さんにおすすめすることはできません。うつがひどい時期にやるべきことは、「運動という負荷をかけること」ではなく、「あらゆる負荷を排除すること」です。

 

とにかく休んでください。あれをしなくちゃいけない、これをしなければだめだ、そのような考え方から解き放たれ、ひたすら休んでください。安静第一。

 

職業柄、うつ病の患者さんの対応をさせていただくことは多いですが、重症期の患者さんというのは「食事も睡眠もままならない」「そもそも食欲、睡眠欲がない」という方が多いです。

 

食事、睡眠が十分にとれていない、という状態で、運動や筋トレという負荷を与えることはおすすめできません。肉体的・精神的に余計に消耗させますし、「運動しなければならない」という義務意識が、患者さんをさらに苦しめる結果になってしまいます。

 

そして運動できなかった場合「運動しなければならなかったのにできなかった。やっぱり自分はダメな人間なんだ」という自責の念を増やしてしまうことになります。ただでさえうつ病というのは自罰的になりがちな病気です。さらに自分を責める要因を増やしてしまいかねません。

 

こういう話になると「運動すると食欲や睡眠欲が出てくるのではないか」という意見も出てきますが、順序が逆です。 

 

まず十分な睡眠を経て、食欲が出てきて、体を動かすためのエネルギーが充填されるのです。

 

エネルギーゼロで手足を動かすだけでも非常に苦しい状態の患者さんに「運動すると元気になる」と啓蒙するのは、順序が間違っていると言わざるをえません。

 

まず休養してください

うつ症状がひどい時期の運動というのは、かえって症状を悪化させます。運動しなければ…という義務意識も、いっそう病状を悪化させます。

重症期に必要なのは休養と投薬治療です。SSRISNRIなどの抗うつ薬を規則的に飲み、十分に眠り、必要以上のエネルギー減少を抑制してください。イメージは「冬眠」です。

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冬眠中の熊が、「寝てばっかりでは体によくない!」といって運動や筋トレをするかといったら、しませんよね。 

 

運動は、「運動に適した気候状態」や「運動に適した体調」になってからで十分です。この時期に必要なのは、とにかく不要な消耗を防ぐことです。薬を飲んで寝てください。仕事とか、やらなければならないすべてのことを放り出して、とにかく休んでください。

 

休養を経て体力を取り戻してから。運動をするのはそれからで十分です。

 

運動なんてする余力はなかった

私もブラック環境で仕事をしていて心身を病んだことがあります。

method-of-pharmacist.hatenablog.com

ろくに頭もまわりませんし、働いている意味とはなにか…生きている意味とはなにか…なぜ私は食べて眠らなければならないんだろうか…とおかしな思考に至っていました。

職場の先輩に相談してみても、「はぁ!?体力が足りないだけでしょ!?そんなの甘え、運動でもして体鍛えてきなさいよ!!」と跳ねのけられるだけでした。

 

しかし、ここまで心身がSOSサインを出している状態で運動なんて、とてもじゃないけどできないのです。「健康なときに」心身の異常を防ぐために運動をするのならともかく、すでに症状が発生し、心身のエネルギーが枯渇している状態で運動する余力なんて、とてもじゃないけど残っていません。

 

結局やったことは、「薬を飲んで」「ひたすら寝る」ことでした。仕事も休んでとにかく寝ました。当時の自分の体力では、寝ることくらいしかできなかったんですよね。

「うつには筋トレがいい」「運動がいい」という意見も一理ありますが、症状が出てからでは効果が出るどころか増悪させます。

うつ症状が強い時にはとにかく休みましょう。何もしないでいいです。とにかく休んでください。

運動をするのはそれからでも遅くありません。